研究課題/領域番号 |
13214068
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 宣之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40150883)
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研究分担者 |
野崎 昭人 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20335631)
秋山 公祐 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30222540)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / レポーターアッセイシステム / 転写調節能 / コア蛋白質 / マイクロサテライト不安定性 / CAリピート / DNA修復 / 分子生物学 |
研究概要 |
HCV蛋白質の細胞機能に及ぼす影響とがん化との関係を明らかにすることを目的として、HCV蛋白質が肝細胞における転写調節能やDNA修復能にどのような影響を及ぼすかを調べた。HCV蛋白質の転写調節能に関しては、昨年度までに、interferonにより誘導される2'-5'-OAS遺伝子promoterのHCVコア蛋白質による活性化(5,6倍)がpromoter領域に1 copy存在するISREを介していることが示唆されていたことから、その可能性について追究した。ISREのconsensus配列だけをtandemに5回繰り返した配列に対しては、コア蛋白質は2倍程度の活性化能を示したが、ISREのconsensns配列を1 copy有する代表的なPKR遺伝子promoterに対してはコア蛋白質はほとんど活性化能を示さないことを明らかにした。これらの実験結果と2'-5'-OAS遺伝子promoterに存在するISREがconsensns配列と少し異なるという事実から、コア蛋白質はISREを持つ遺伝子の一部を選択的に活性化することが示唆された。2'-5'-OAS遺伝子の活性化に関するコア蛋白質の責任領域については、これまでに作成したコア蛋白質の内部の一部を欠損させた変異体では、いずれもある程度の活性化能が残存していたことから、今年度はアミノ酸配列がよく保存されているアミノ末端部に着目して検討した。その結果、アミノ末端部20アミノ酸を欠くだけで、活性化能が完全に消失することを明らかにした。EGFPとの融合蛋白質として発現させて細胞内局在を調べたところ、アミノ末端部の欠失体も本来のコア蛋白質と同様に核膜近縁に局在していたことから、アミノ末端部20アミノ酸に関わる何らかの因子がこの活性化能に関与していることが示唆された。HCV蛋白質のDNA修復系への影響に関しては、昨年度までに開発した培養細胞レベルでのミスマッチ修復能に関するアッセイ系を用いて細胞内で発現させたHCV蛋白質のマイクロサテライト不安定化能を測定した。レトロウイルスベクターにより各種HCV蛋白質を恒常的に発現させたヒト不死化肝細胞を用いてマイクロサテライト不安定性に関するアッセイを行った。その結果、コア蛋白質(遺伝子型1b)を発現している細胞においてのみE1,E2或いはNS5A蛋白質を発現している細胞やMock infectionを行った細胞と比較して導入したマイクロサテライトは2-3倍の頻度で不安定化していることを明らかにした。遺伝子型の異なるコア蛋白質についても同様に検討した結果、1b型(最も顕著)と2a型のコア蛋白質の場合にのみマイクロサテライトの不安定化能が認められたが、1a型、2b型、3a型のコア蛋白質にはそのような効果がないことを明らかにした。このような遺伝子型による違いは、肝がん患者に1b型や2a型が多いという背景と一致しており、今後さらに詳しく調べる必要がある。
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