研究課題/領域番号 |
13214098
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (80251304)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | TLS-CHOP / 粘液型脂肪肉腫 / TLS-ERG / コンディショナルノックイン |
研究概要 |
申請者は、染色体転座に起因するキメラ癌遺伝子による腫瘍化のメカニズムを明らかにすべく、t(12;16)が原因とされる粘液型脂肪肉腫に注目し、Cre-loxPシステムを用いてin vivoでTLS-CHOPキメラ遺伝子を発現するコンデイショナルノックインモデルマウスの作成に成功した。しかし、現在まで、本マウスの皮膚組織及び脂肪組織にTLS-CHOP陽性細胞の存在は確認されているが、腫瘍性病変は確認されていない。このような事実から、正常の個体においては、細胞増殖に対してはTLS-CHOP遺伝子産物は何ら影響を与えないことが示唆された。本研究においては、昨年度TLS-CHOPコンディショナルノックインマウスとp53-/-マウスを交配し、TLS-CHOP陽性細胞数の変化、腫瘍化能の検討をしてきたが、排除機構の同定は非常に難しいと考えられた。さらに、今年度この現象がTLS-CHOP以外のキメラ遺伝子でみられるかどうか検討するため、骨髄性白血病のTLS-ERGキメラ遺伝子のモデルマウスを作成することを試み現在キメラマウスを得ている。一方、キメラ遺伝子が発現することにより、細胞分裂にネガティブな機構が働くと想定した場合、細胞周期チェックポイントが活性化することが予測される。このようなことから、実際にTLS-CHOPが発現している粘液型及び円形細胞型脂肪肉腫の検体において、G2/M期チェックポイントが働いているかどうか検討した。具体的には、Chk1遺伝子のSer345のリン酸化をリン酸化認識抗体で検出することにより検討した。その結果、検討した5例の症例すべてにおいて、腫瘍細胞の40から60%にChk1遺伝子のリン酸化が確認された。正常の脂肪細胞では、Chk1遺伝子のSer345のリン酸化は見られないことから、TLS-CHOPがゲノム維持機構に何らかのストレスを与える可能性が示唆された。今後は、ゲノムストレスも含め、その詳細を検討して行く予定である。
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