研究課題/領域番号 |
13214112
|
研究種目 |
特定領域研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
赤城 剛 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 所長研究部, 副部長 (90184077)
|
研究期間 (年度) |
2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2001年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
|
キーワード | 遺伝子 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 癌 / 老化 / ras / SV40 T抗原 / EIA |
研究概要 |
1.ヒト正常繊維芽細胞への高効率安定遺伝子導入法の確立。ヒト正常細胞を用いた癌遺伝子の研究が進まなかった背景には、正常細胞の特質に由来する技術的な困難さがある。すなわち、正常細胞は一般の細胞株と比較してconventionalなトランスフェクションによる遺伝子導入の効率が極めて悪いこと。分裂寿命を有するために、限られた回数しか分裂できないこと。細胞密度が低い状態だと増えにくいこと。などの理由により、安定な外来遺伝子導入細胞を作製し生化学的な解析を行うのに十分な数まで殖やすことが非常に困難であった。特に、ヒトの正常細胞をトランスフォームさせようとすると、複数の遺伝子を安定に導入する必要があり、これを従来のトランスフェクションで行うのは事実上、不可能であると思われる。この目的には、レトロウイルスベクターを用いるのが最も適しているが、癌遺伝子を扱うので、バイオハザードの観点からも、ヒトに感染するamphotropic retrovirus(ARV)は極力使わない方が望ましい。そこで、まず最初に、齧歯類にのみ感染するecotropic retrovirus(ERV)のレセプター遺伝子をヒト正常細胞に導入し(この際には、ARV vectorを使わざるを得ない。)、一旦、その様な細胞を得てからは、ERV vectorを用いて、外来遺伝子の導入を行うというストラテジーを取った。TIG-1、TIG-3、MRC-5、IMR-90、BJなどのこれまで細胞老化の研究に良く用いられてきたヒト正常2倍体繊維芽細胞(HDF)に、ERVのレセプター遺伝子を導入したところ、これらのHDFは、マウスERV vectorに対して大変感受性が高く、我々が開発したCX4レトロウイルスベクターと北村俊雄博士(東大医科研)らが開発したERV packaging細胞Plat-Eを組み合わせて使うことによって非常に高い効率(ほぼ100%)で外来遺伝子を安定に導入することが可能になった。 2.正常繊維芽細胞への癌遺伝子の導入。上記のシステムを用いて不死化を起こす遺伝子(テロメラーゼの触媒サブユニットcDNAやc-myc)、癌抑制遺伝子であるRbやp53を不活化する遺伝子(SV40 T抗原、アデノウイルスのE1A、あるいは変異型p53)、優性な癌遺伝子(活性化型H-ras)の少なくとも3つのカテゴリーの遺伝子を、単独またはいくつかの組み合わせで導入したHDFを得ることに成功した。
|