研究課題/領域番号 |
13214117
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
金井 弥栄 国立がんセンター, 研究所・病理部, 室長 (00260315)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | DNAメチル化 / DNAメチルトランスフェラーゼ / メチルCpG結合蛋白 / 前がん状態 / 多段階発がん / DNMT1 / CpGアイランドメチル化形質 / MeCP2 |
研究概要 |
維持DNAメチルトランスフェラーゼであるDNMT1の発現が、肝細胞がんに対する前がん状態と考えられている慢性肝炎ならびに肝硬変症の段階で既に亢進し、肝細胞がんにおいて更に亢進していた。近年新規に同定されde novo DNAメチルトランスフェラーゼに分類されるDNMT3aの発現亢進も前がん状態において既に認められ、DNMT1ならびにDNMT3aの過剰発現は肝多段階発がん過程における早期の事象であると考えられた。DNMT1の発現亢進は大腸がん・胃がんにおいてはCpGアイランドメチル化形質と有意に相関したが、これらのがんにおいてDNMT1を塩基配列特異的に非メチル化基質DNAに動員するような未知のコファクターが存在する可能性などが考慮された。ヒストン脱アセチル化酵素複合体を転写調節領域に動員するメチルCpG結合蛋白であるMeCP2の発現は、門脈侵襲を伴う肝細胞がんにおいて低下しており、肝細胞がんの悪性進展に関与する可能性がある。近年新規に同定されたメチルCpG結合蛋白のひとつで核蛋白分画MeCP1の構成因子であるMBD2の発現も肝細胞がんにおいて低下しており、クロマチン構造の変化やがん関連遺伝子の発現の変化を介し肝発がん過程に関与している可能性がある。チミンDNAグリコシラーゼとしてCpG配列におけるミスマッチを修復するMBD4の発現は、低分化肝細胞がんや門脈侵襲を伴う肝細胞がんにおいて低下しており、p53がん抑制遺伝子などのC-T変異に帰結すると予測された。DNAメチル化の状態を補正したりDNAメチル化の変化がもたらすクロマチン構造や遺伝子発現の変化を是正できるようになれば、慢性肝炎あるいは肝硬変症の段階にある肝炎ウイルスキャリアーにおいて発がんを予防したり、肝細胞がんの悪性進展を防止するための、新しい戦略に結びつくと期待された。
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