研究概要 |
ストレス刺激に対して生体が持つ細胞防御機構をGADD34とその結合蛋白を中心にその機能解析、遺伝子発現を解明することをめざした。13年度はDNA傷害性ストレス刺激により発現が誘導されるGADD系の遺伝子発現を調節する転写因子の解明を進めた。特にまだ解明が進んでいないGADD34を中心に、酸化ストレス、アルキル化薬剤ストレス、紫外線ストレスに対する遺伝子発現制御を検索した。また、GADD34の細胞生存、細胞増殖に対する機能を検索するため、GADD34と結合する各種蛋白の機能解析を進めた。また、GADD34と結合するBFCOL1のノックアウトマウス解析を進めた。その結果GADD34とそれに結合するGAHSP40の発現調節機構をあきらかにした。それぞれ、MMS.熱ストレスに対する調節領域と結合する転写領域が判明した。GADD34のプロモーター解析により、MMS反応性CRE, GC-richiシスエレメントが翻訳開始点上流100bp以内にあることが判明した。これら、シスエレメントに結合する転写因子、CREB、ATF-2あるいはSp1の上流のシグナル伝達系を解析中である。また、ストレス刺激によるクロマチン構造の変化とGADD34の発現調節の研究をスタートさせ、ストレスからGADD34の遺伝子発現への経路をより深く検索する道が開けた。GADD34と結合するGAHSP40のプロモーター解析から、GAHSP40は熱ストレスでHSF転写因子を活性化させ、遺伝子発現が増強されることが判明した(J. Cellular Biochem. )。GADD34はGADD45, GADD153同様NOストレス刺激でMAPキナーゼを介して発現上昇することを明らかにした(Free Rad. Biol. Med, .).また、BFCOL-1ノックアウトマウスの解析が進み、ヘテロノックアウトで精子形成不全、神経管閉鎖不全を示すことから、非常に重要な転写因子であること、MMS刺激でBFCOL-1の発現が誘導され、p53を活性化することを明らかにした(投稿中)。
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