研究課題/領域番号 |
13216066
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠山 宗正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10240839)
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研究分担者 |
斎藤 博 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90301259)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | PPAR / ホルモン依存性がん / 乳がん / 接着分子 / E-セレクチン / 血管内皮細胞 / エストロゲン / プロゲステロン |
研究概要 |
TNF-α刺激ヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVEC)に対する種々のヒト乳癌細胞株の接着について検討した。その結果、転移性乳癌細胞株MDA-MB-453のHUVECへの接着が認められたが、非転移性乳癌細胞株(MCF-7、T47D)の接着は認められなかった。MDA-MB-453のHUVECへの接着は、抗E-selectin抗体で抑制され、抗VCAM-1抗体や抗ICAM-1抗体では抑制されなかった。HUVECを種々の核受容体リガンドで処理後MDA-MB-453の接着を解析したところ、estradiolやprogesteroneの処理によりMDA-MB-453のHUVECへの接着が著明に抑制された。PPARαリガンドであるfenofibrate (Feno)や種々のPPARγリガンドの処理ではMDA-MB-453のHUVECへの接着は抑制されなかった。これら核受容体リガンドのMDA-MB-453の接着に対する作用は、HUVECのE-selectin発現に対する作用と完全に一致しており、血管内皮細胞のE-selectinが核受容体リガンドによる乳癌の転移抑制のターゲットになり得ることが示された。また、Fenoは血管内皮細胞におけるTNF-α誘導性VCAM-1発現を遺伝子の転写レベルで抑制すること、これはTNF-α刺激後のNF-κBの核内移行後にVCAM-1遺伝子の上流プロモータ領域へのNF-κBの結合を阻害することによってもたらされること、同様にNF-κB誘導性遺伝子であるIL-6遺伝子の転写に対しても抑制作用を示すことを証明した。一方、GRリガンドのdexamethasone (Dex)はIL-6遺伝子のみの転写を抑制しVCAM-1遺伝子の転写活性に対しては抑制作用を示さないこと、NF-κBのIL-6遺伝子プロモータに対する結合を阻害するがVCAM-1遺伝子プロモータに対する結合を阻害しないことが判明した。すなわち、同じNF-κB誘導性遺伝子であっても、核受容体による転写抑制作用には標的遺伝子により特異性があることが判明した。
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