研究課題/領域番号 |
13216086
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
平井 秀一 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (80228759)
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研究分担者 |
執印 太郎 高知医科大学, 医学部, 教授 (80179019)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2001年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | VHL / 細胞増殖 / がん抑制遺伝子 / 腎がん / contact inhibition |
研究概要 |
がん細胞の特性の代表的なものとして細胞接着による増殖抑制(contact inhibition)の欠如が挙げられるが、その分子機構については不明な点が多く、癌の種類によって異なる分子機構が作動していることも考えられる。我々は癌抑制遺伝子産物VHLが細胞密度の上昇に伴い細胞内に蓄積してくることを見い出したことに基づき、VHLがcontact inhibitionに関与するものと考え、これを検証する実験を行った。その結果、VHLは低細胞密度で対数増殖期にある細胞に対しては増殖に影響を与えないが、高細胞密度に於いては細胞の増殖を阻害するといった極めて特徴のある性質を示すことを明らかにした。VHL病は、腎細胞癌を生じるが褐色細胞芽腫を生じないType1、褐色細胞芽腫を生じるが腎細胞癌を生じないType2A、及び双方を生じるType2Bに分類され、それぞれVHL遺伝子上の特異的な位置にmissense mutationやnonsense mutationが見られる。VHLの病態別変異のcontact inhibitonに及ぼす影響を明らかにする目的で、各タイプにおいて比較的高頻度に見られる代表的な変異を持つVHLの発現ベクターを作成し、これらをVHL欠損腎細胞癌由来の細胞株786-0のゲノムに導入した細胞株を樹立した。これにwtVHLの発現ベクターを導入した際にはconfluentになった以降の増殖速度が鈍るが、腎癌を作るようなType1、Type2Bの変異を持つVHLを導入した細胞株で親株の786-0と同様の増殖特性を示すものが多かった。また、腎癌を作らないType2Aの変異を持つVHLを導入した細胞株では、wtVHLを導入した細胞株と同様の増殖特性を示すものが多かった。これらの知見はVHLのcontact inhibition回復能と腎癌抑制能の間に明瞭な相関性のある事を示すもので、腎癌の発症はcontact inhibitionの欠如に依存しているとの可能性が考えられる。現在contact inhibitionに関与するVHLの標的となる候補遺伝子について同定を進めている。
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