研究課題/領域番号 |
13216099
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 講師 (80266163)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 膜型PGE2合成酵素 / COX-2 / PGE2 / 大腸癌 |
研究概要 |
近年、アラキドン酸代謝経路の産物が細胞増殖や腫瘍形成に関与することが示唆されている。我々は、アラキドン酸代謝経路においてシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の下流に位置する膜型プロスタグランジンE2合成酵素(mPGES)に注目し、解析を試みた。ヒト腎由来細胞株HEK293にmPGES/COX-2共発現した細胞株を作製したところ、PGE2産生の著明な亢進を観察したのと同時に、顕著な細胞増殖促進および形態的変化を見いだした。本細胞株はソフトアガー中でコロニーを形成して増殖し、ヌードマウスに接種すると腫瘤を形成したことから、悪性形質変化を起こしていることがわかった。次に、親株HEK293細胞に細胞外から持続的にPGE2を供給しても形質変化は観察されなかった。mPGES/COX-2共発現細胞株を二重蛍光抗体染色した結果、mPGESとCOX-2が核周縁部に局在を共にしたことから、核周縁部で大量に産生されたPGE2が細胞の形質変化を誘起することが想定された。さらに、ヒト大腸癌組織切片の免疫染色の結果、調べた4症例すべてにmPGESおよびCOX-2の高発現が観察された。以上の解析から、COX-2/mPGES経路の産物が腫瘍の発生および増殖の亢進の一部に関与しうることが明らかとなった。モデル細胞であるCOX-2/mPGES-293共発現細胞では細胞内の特定のコンパートメントで産生された大量のPGE2が細胞の形質変換の"引き金"を引いたことにより「不可逆的な」変化を誘発したことが考えられる。今後このような現象が生体内で起こりうるか解析する必要がある。培養大腸癌細胞株の一つであるHCA-7細胞の増殖に部分的にPGE2が関与することから、PGE2の産生される場所および量により異なったシグナルが流れ、細胞増殖や形質変換につながることが想定された。
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