研究課題/領域番号 |
13216111
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
金保 安則 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所・参事研究員(部長) (00214437)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2001年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | ラッフル膜 / EGF / CrkII / Rac1 / ARF / PIP 5-kinase |
研究概要 |
申請者は平成12年度に、EGF受容体を介したラッフル膜形成シグナル経路において、CrkIIが関与することを見出した。そこで、本年度は、CrkIIがどのような分子メカニズムでEGF受容体を介するラッフル膜形成に関与するのか、その詳細について解析し、以下の結果を得た。 EGF受容体は、EGF刺激に伴いその細胞内C末端(細胞内)領域の5カ所のチロシン(Tyr)残基が自己リン酸化されてシグナルを下流へ伝達することが知られている。これらすべてのTyr残基をフェニールアラニンに置換した自己リン酸化されないEGF受容体変異体(F5-EGFR)を単独でCHO細胞に強制発現させてもEGFによるラッフル膜は形成されなかったが、興味深いことに、CrkIIと共発現させるとEGF刺激によりラッフル膜が形成されることを見出した。CrkIIはN末端側に一つのSH2ドメインをもち、そのC末端側に2つのSH3ドメインを有するが、C末端側1つのSH3ドメイン(C-SH3)でも全長CrkIIと同様に、F5-EGFRと共発現させるとEGF刺激によるラッフル膜形成が認められた。さらに、このF5-EGFRとCrkIIあるいはC-SH3を共発現させたCHO細胞におけるEGF依存的なラッフル膜形成は、ドミナントネガティブRac1により阻害された。これらの結果から、EGF受容体を介するラッフル膜形成シグナル伝達において、活性化されたEGF受容体からCrkIIへシグナルが伝達され、その下流でRac1が活性化されてラッフル膜形成に至るものと結論づけられる。また、このシグナル伝達においては、EGF受容体の自己リン酸化は必要でないことが明らかとなった。 我々は、これまでにRac1によるラッフル膜形成は、ホスファチジルイノシトール(PI)4-リン酸(PI4P)をリン酸化してPI4,5-二リン酸を産生するPI4P5-キナーゼ(PIP 5-kinase)の活性化因子である低分子量Gタンパク質のARFにより仲介されている可能性を報告しているが、CrkIIを介するラッフル膜形成は、ドミナントネガティブARFによっても阻害された。このことより、EGFによるラッフル膜形成シグナル伝達は、EGF受容体→CrkII→Rac1→ARF→PIP 5-kinase経路であると考えられる。
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