研究課題/領域番号 |
13218032
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前川 平 東京大学, 医科学研究所, 講師 (80229286)
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研究分担者 |
小柳津 直樹 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00282773)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | アンチャンス / Bcl-2 / ドラッグ・デリバリー・システム |
研究概要 |
現在、アンチセンス(AS)・オリゴヌクレオチドの研究や欧米で行われている臨床治験には、ホスホロチオエート(PS)型の核酸分子が用いられている。しかし、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれたAS分子はエンドゾームにトラップされてしまい、効果を発揮させるためには大量の核酸分子を必要とする。また、PS型分子が蛋白質と非特異的に結合するため、非アンチセンス効果がしばしば認められるなどの欠点があった。我々はPS型分子とホスホジエステル型のキメラ型分子は非アンチセンス効果が少ないことを報告してきたが、今回ethoxylated polyethylenimine(EPEI)をもちいて検討したところ、以下の結果を得た。 (1)アンチセンス核酸の分子設計:あたらしく考案したモルフォリノ・アンチセンスオリゴヌクレオチド核酸分子を合成し、その精製方法を確立した。 (2)上記のアンチセンス核酸分子は非特異的に蛋白質と結合したり、Bリンパ球を非特異的に刺激するなどの非特異的作用や非アンチセンス作用を示す程度が少ないことを示した。 (3)エンドゾーム膜をpH依存性にpermeablizeさせるethoxylated polyethylenimine(EPEI)をもちいた細胞内へのアンチセンス核酸分子の取り込み効率を検討した。その結果、エンドゾーム内は酸性に保持されており、これをリン脂質を結合させたモルフォリノ分子をもちいて、エンドゾーム内のpHを中性にさせることにより、エンドゾーム内にトラップされたアンチセンス分子が細胞質内に再放出される現象を見い出した。 (4)HL60(Bcl-2高発現)を対象とし、EPEIの陽性荷電部位をAS分子の陰性荷電部位と結合させたBcl-2AS分子(開始コドンをはさんだ配列)をもちい、増殖に及ぼす影響、Bcl-2蛋白量、アポトーシス誘導の程度を検討した。その結果、従来の検討では、効果を発揮させるのに必要なAS分子は10μM以上必要であったが、EPEIをもちいた検討では10ないし100nMでほぼ同様の増殖抑制効果が得られた。 以上のことから、EPEIはAS分子の細胞質内へのdrug delivery systemとして有用である可能性が示唆された。
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