研究課題/領域番号 |
13218061
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
清井 仁 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (90314004)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2001年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 薬剤代謝酵素 / 遺伝子多型 / 遺伝子異常 / 白血病 / 予後因子 |
研究概要 |
急性白血病の予後を規定する宿主側要因と白血病細胞の性状に起因する要因の統合的な解析による新たな層別化システムの確立を目的として、急性骨髄性白血病細胞における薬物代謝酵素CYP3A4、GSTT1、NQ01、MPO遺伝子多型とp53、N-RAS、FLT3遺伝子異常出現との関連を日本成人白血病研究グループ(JALSG)の同一プロトコールにより治療された201例のde novo急性骨髄性白血病を対象に解析した。CYP3A4のpolymorphismは日本人には認めなかった。GSTT1欠失例は35.8%に認めた。NQO1多型は、P/P:46.1%、P/S:37.8%、S/S:16.1%、MPO多型は、A/A:0.5%、A/G:15%、G/G:83.9%であった。一方、p53遺伝子変異は4.5%、N-RAS遺伝子変異は13.9%、FLT3遺伝子変異は26.9%に認めた。このうち、6例には2種類の遺伝子変異を重複して認めたが、総合すると42.3%の症例にいずれかの遺伝子変異を認めた。これら遺伝子変異と薬剤代謝酵素遺伝子多型の間には有意な相関関係は認めなかった。しかし、p53遺伝子変異とFLT3遺伝子変異は、それぞれ独立した予後不良因子であることが明らかとなった。更に興味有ることに、GSTT1遺伝子多型において、GSTT1欠損例においては、治療開始後120日以内の早期死亡例が有意に多く、全生存率に対しても予後不良因子であることが明らかとなった。薬剤代謝酵素遺伝子多型は、白血病発症との因果関係を示すものとして重要性を指摘されてきたが、本研究の結果により、細胞側予後不良因子をもつ症例において、治癒率向上のためにいたずらに治療強度を上げることが必ずしも患者にとって有益ではない可能性が示唆された。今後は更に症例数の蓄積と更なる細分化によりこれらの関係を明確にすることが必要である。
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