研究課題
特定領域研究
癌の遺伝子治療において様々なベクター系が用いられているが、より高い臨床的効果を期待するために、さらなる改良が求められている。腫瘍内で治療遺伝子を増幅させ遺伝子発現増強とベクターの拡散を促すシステムの実用化をめざし、ハイブリッドベクターの開発とアデノウイルス初期遺伝子群の機能解析を行うことを目的とした。本年度は、引き続きアデノウイルス初期遺伝子群E1、E2、E4、およびVAの機能を応用し、細胞内で治療ベクターの複製を誘導するシステムを推進した。アデノウイルス初期遺伝子群発現ベクターが生体内でサイレンシングを受けにくくするために、MSCV-LTRの抑制性転写因子結合領域欠失レトロウイルスベクターを応用した。HSV-放発現治療ベクターAAVTk、E1B55k欠失E1遺伝子発現ベクターAAVE1、E1B55k遺伝子発現ベクターAAVE1B55、E2遺伝子発現レトロウイルスベクターDNE2、E4-VA遺伝子発現レトロウイルスベクターDNE4VA、およびRep/Cap発現レトロウイルスベクターDNRepCapの混合感染を腫瘍細胞の系で行った。治療遺伝子として搭載されたHSV-tk遺伝子のコピー数を測定し、ベクターの複製効率と感染条件を検討した。さらに、腫瘍細胞における遺伝子発現を向上させてベクターの複製効率を増強させるため、ベクター感染時にHDAC阻害剤を併用し、遺伝子発現増強効果やその作用機構を解析した。
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