研究課題/領域番号 |
13218137
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 共立薬科大学 (2004) (財)癌研究会 (2001-2003) |
研究代表者 |
杉本 芳一 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (10179161)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
36,500千円 (直接経費: 36,500千円)
2004年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2003年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2002年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2001年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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キーワード | ABC transporter / ABCG2 / BCRP / estrogen / flavonoid / gefitinib / irinotecan / SNP / 癌化学療法 / 抗癌剤耐性 / ABCトランスポーター / ステロイドホルモン / レトロウイルス |
研究概要 |
BCRP(Breast cancer resistance protein、ABCG2)はirinotecan、mitoxantrone、topotecanなどの抗癌剤の耐性に関与するABC輸送体である。我々は、BCRPがS-S結合を介したホモ2量体として存在することを明らかにし、このホモ2量体化の阻害によりBCRP機能をdominant-negativeに阻害できることを示した。また、BCRPのR482変異体発現細胞の多くがmitoxantroneとdoxorubicinに対して野生型BCRP発現細胞より高い耐性を示すことを明らかにした。次いで我々は、estrone、estradiolがBCRPによる抗癌剤耐性を克服することを明らかにした。この知見を元にBCRPによる基質輸送を解析し、BCRPはestrogen本体ではなくその硫酸抱合体であるestrone sulfateをATP依存的に輸送することを示した。さらに種々の化合物の輸送を調べ、BCRPが硫酸基を持つsteroidに選択性の高いtransporterであることを明らかにした。また、合成estrogen剤のdiethylstilbestrol、新規tamoxifen誘導体TAG-139、phytoestrogenであるgenisteinやnaringeninなどのestrogen関連化合物がBCRPの基質あるいは阻害剤となることを示した。しかし化合物の抗BCRP作用と抗estrogen作用は相関しなかった。また、EGFRのtyrosine kinase阻害剤であるgefitinibがBCRPの基質となることを示した。BCRP遺伝子のSNPの検索を行い、exon部分にBCRPタンパクの発現を消失させるBCRP-C376T(Q126stop)と発現を低下させるBCRP-C421A(Q141K)の2つのSNPを同定した。この2つのSNPが抗癌剤投与時の副作用と関係する可能性を示唆する複数の症例を同定した。estrogenがBCRP mRNAの発現低下を介さずにBCRPタンパクの発現を低下させることを見出した。阻害剤、SNP、タンパク発現の抑制など、種々の機序による生体内でのBCRPの活性の低下は、irinotecan、gefitinibなどを用いたがん化学療法における効果と副作用の発現に大きな影響を与えると考えられる。
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