研究課題/領域番号 |
13218139
|
研究種目 |
特定領域研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
旦 慎吾 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター・分子薬理部, 研究員 (70332202)
|
研究期間 (年度) |
2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
|
キーワード | ヒトがん細胞株 / 抗がん剤 / cDNAマイクロアレー / 遺伝子発現プロファイル / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
がん細胞の抗がん剤感受性を規定している遺伝子を同定するために、ヒト肺がん細胞株A549における抗がん剤処理前後の遺伝子発現をcDNAアレー法により解析した。アドリアマイシン処理により最も顕著に発現抑制を受けたサイクリンB1遺伝子は、エトポシドやイリノテカン処理後も発現抑制されたが、シスプラチン処理では抑制されず、抗がん剤特異性を示した。このことから、サイクリンB1の発現抑制は一部の抗がん剤による増殖抑制機構に関与していることが示唆された。 また、多数の抗がん剤への感受性が明らかにされたヒトがん細胞株39系における薬剤未処理の遺伝子発現プロファイルを解析し、遺伝子発現情報と薬剤感受性情報を統合データベース化した。抗がん剤感受性と遺伝子発現の相関解析をおこなった結果、解析に用いた55種類の抗がん剤それぞれにつき、薬剤感受性と統計学的に有意な相関を認める発現パターンを示す遺伝子群を抽出した。これらの遺伝子群には、薬剤感受性と正の相関を示す(遺伝子発現が高い細胞ほど抗がん剤が効きやすい傾向にある)ものと、負の相関を示す(遺伝子発現が高い細胞ほど抗がん剤が効きにくい傾向にある)ものが含まれた。このことは、未知のがん細胞においてこれらの遺伝子の発現量を調べることにより、抗がん剤感受性を予測できる可能性を示唆している。また、興味深いことに、抽出された遺伝子は、多数の作用メカニズムが異なる抗がん剤に共通して相関を示すものと、ある一定の作用メカニズムの抗がん剤に選択的に相関を示すものに分類できることがわかった。 以上、本研究により明らかにされた抗がん剤処理により発現変動する遺伝子群や、抗がん剤感受性と相関を示す遺伝子群は、抗がん剤の作用メカニズムに関与している可能性が示唆された。これらの遺伝子群と抗がん剤感受性との因果関係を証明し、その中からがん化学療法の新たな分子標的を探し出すことが今後の課題である。
|