配分額 *注記 |
35,000千円 (直接経費: 35,000千円)
2004年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2003年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2002年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2001年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
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研究概要 |
がん細胞の特性を利用して探索系を工夫し、天然から薬剤耐性克服物質、IL-6阻害物質、TRAIL活性増強物質を探索し、単離した活性物質を評価すると共に、すでに発見された物質の誘導体を合成しそれらの活性を評価した。 1.耐性克服物質:KB/VJ300,P388/VCRを用いて探索し、糸状菌FO-7711株よりCD4、CD6を、またAgaricus blazeiよりステロイド骨格を持ったAgariblazeisirols A、Bを単離した。カビ由来pyripyropen誘導体の7-0-BenzoylpyripyropeneAはP-gpおよびMRPに結合してそれらの働きを抑制した。マレーシアの植物から18種のAspidofractinine型のインドールアルカロイドを単離した。特に、Tabernaemontana属より得たconodusarineとconodiparine AはP388細胞に対しin vivoで耐性克服作用を示した(T/C=50%)。合成したイソプレノイド化合物43種のなかで、N-5228はin vivoでP-388細胞に対して耐性克服作用を示した(T/C=40%)。C330,C264およびN-5228はP-gpに結合してその活性を阻害することを認めた。 2.IL-6活性阻害物質:生薬のセンソから単離した20,21S-epoxy-resibufogenin-formate(ERBF)のアセチル化体(ERBA)に顕著なIL-6依存性増殖MH-60細胞の増殖阻害を認めた。ERBAはIL-6受容体に結合してIL-6を阻害する競合的拮抗であった。放線菌由来IL-6活性阻害物質Madindoline Aはgp-130に結合してIL-6の活性を阻害する特異的な作用を示す。この構造活性相関を調べたところ活性にはfuloindoline骨格に結合しているS配位の水酸基、メチレン基でR配位結合したdiketocyclopenteneの存在が必須であることが示された。誘導体C-18化合物はMadindolineAより強いIL-6阻害活性を示し、colon26誘発癌性悪液質マウスモデルにおいても顕著な悪液質改善作用が認められた。 3.TRAIL増強物質の探索:ヒトT成人白血病細胞を用いてタイ産のBlumeabasamiferaよりmethyldihydroquercetin(MDQ)を単離した。アポトーシス誘導はAnnexin/PI染色にて確認した。本物質を添加するとPro-caspase-8の減少、caspase-9および-3のcleavageの増強が認められた。MDQとTRAILの併用はミトコンドリアの膜電位を低下させた。一方、BCL-2, BCL-xL, XIAP, c-IAP, survivine, Bak, Baxに変化はなかった。デスレセプターであるTRAIL-R2の発現がほぼ倍増していることがわかった。この事からアポトーシス増強のメカニズムはMDQによるデスレセプター発現増強によると思われる。
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