研究概要 |
染色体転座関連がん遺伝子BCL6ならびに我々自身が単離したAPI2-MALT1融合遺伝子の機能を解明することにより、悪性リンパ腫の診断、治療への臨床応用を実現することを目的として以下の諸点を明らかにした。1)BCL6プロジェクト cDNAマイクロアレイによる標的遺伝子の探索。BA/F3細胞に樹立したBCL6発現誘導系と蛍光プローブを用いた大規模なcDNAマイクロアレイを組み合わせてBCL6の新規標的遺伝子を探索し、三つの標的遺伝子を同定した。同定した遺伝子の発現がBCL6の直接な制御下にあるかどうかレポーターアッセイ法やゲルシフト法を用いて検討するため、それぞれのプロモーターを含むゲノムを単離し、現在レポーターコンストラクトを作成中である。2)API2-MALT1プロジェクト MALTリンパ腫に高頻度に認められる染色体転座t(11;18)(q21;q21)の本体がAPI2-MALT1遺伝子融合であることを明らかにしてきた。API2-MALT1,API2,MALT1それぞれをtagを付加した発現ベクターを用いて各種細胞株にトランスフェクトし蛋白の安定性を検討したところ、API2,MALT1はproteasome阻害剤の添加により半減期の延長が観察された。一方、API2-MALT1キメラはproteasome阻害剤を添加しなくても半減期の延長がみられた。また、細胞内局在を検討したところ、API2は核と細胞質に局在したが、API2-MALT1キメラの形成によって局在は細胞質へ移動した。さらにAPI2,MALT1の機能ドメインをbaitにして結合タンパク質を解析して、Two-hybrid assayによって結合蛋白質の候補を単離した。さらに、API2-MALT1トランスジェニックマウスの作成し解析中である。
|