研究課題/領域番号 |
13220015
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柴田 義貞 長崎大学, 医学部, 教授 (40010954)
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研究分担者 |
高村 昇 長崎大学, 医学部, 講師 (30295068)
難波 裕幸 長崎大学, 医学部, 助教授 (80237635)
山下 俊一 長崎大学, 医学部, 教授 (30200679)
本田 純久 長崎大学, 医学部, 助手 (90244053)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2001年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | チェルノブイリ / 小児甲状腺がん / 症例対照研究 / 遺伝子異常 / 細胞内情報伝達系 / 国際甲状腺組織登録バンク / 国際研究者交流 / ベラルーシ:ロシア:ウクライナ |
研究概要 |
ベラルーシ共和国における甲状腺画像診断支援は、従来の衛星交信を用いた遠隔診断の成果を踏まえ、インターネットを活用したWHO-SMHFプロジェクトに進展した(http://www.who.int/pec/Radiation/healthtelepres.htm)。また、ゴメリ州において事故前後3年以内に生まれた小児約2万2千人の検診を行い、事故後多発した小児甲状腺がんが事故で放出された短寿命の放射性ヨードによることをはじめて明らかにした。 分子生物学的研究については、EC, WHOなどと協力して、チェルノブイリ周辺の基幹センター(ミンスク、オブニンスク、キエフ)における甲状腺がん組織バンクの設立・運用に貢献し、現地からの研修生に対して組織からのDNA, RNAの同時抽出などを指導した。Chernobyl Thyroid Tissue Bank(http://www.wrl.cam.ac.uk/nisctb)には300例を超す遺伝子バンクが確立されており、新しい病理診断基準の作成と国際基準の合意に向けて作業中である。甲状腺がん細胞で増加している遺伝子異常の検索から、既にミトコンドリア遺伝子の不安定性を証明し、さらに新しいタイプのret/PTC遺伝子を同定し、現在その解析を進めている。 放射線照射による甲状腺細胞の特異的変化の研究については、Select-PCR法による新規遺伝子hSNKのクローニングに成功し、その遺伝子解析を終了し、現在、特異的なhSNK抗体の作成とその蛋白機能の解析を進めている。チェルノブイリ周辺における小児甲状腺がんに関しては、細胞周期調節因子であるp53と細胞内情報伝達経路c-JUN活性の相互作用の検討を進め、放射線によるp53依存性の甲状腺内c-JUN活性の増加と細胞死からの逸脱反応の関与をはじめて証明した。さらに、放射線によるc-JUN活性化の機序が、細胞膜からのリン脂質分解経路とそれによる特異なPKCサブタイプδによる選択的な活性化が惹起される事を明らかにした。これらの事実から甲状腺細胞は放射線照射により細胞死から免れやすい特性を有することが考えられ、遺伝子損傷を継代した遺伝子不安定な細胞の存在が、発がん初期反応に深く関与し、同時にその影響は幼弱細胞ほど大きいことが示唆された。
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