本年度の主要な研究実績は、XMLデータのスキーマ部品化に関する新しい方法論の提案とその基礎理論の定式化である。従来、XMLスキーマ言語は、データタイプや正規表現ルールなどの構造な制約をベースにして部品化が行われてきたが、意味的な相互運用性を提供することが困難であった。本研究では、計算量的な処理負担を増やさないようにしながら、概念モデルやオントロジー技術を採用した部品化の手法を検討した。それらは、「軽量オントロジー(Lightweight Ontology)」として体系的に理論化された。これにより、既存のスキーマ言語やオントロジー言語とは独立した形式で、組織間のドメイン相互運用性に特化した意味論をスキーマ部品に与えることが可能となった。これらの意味論からデータ表現の概念を相違を検証し、同じ情報に対しては自動的にスキーマ変換式を推論することができる。本年度は、軽量オントロジーの翻訳的解釈を行う推論エンジンのプロトタイプ開発により、理論の実装可能性を示した。今後は、「スキーマ部品」のデータベース上の蓄積と共有に関して研究を進める予定である。
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