本研究は、ロボット/メカトロニクス機器による物理的なサービス、また人間に意識させない形での知能的なサービスを提供することを目指す、分散感覚ネットワークデバイスによる知能化環境=Intelligent Spaceに関するものである。初年度は分散感覚デバイスの高機能化、複数のデバイスの配置最適化を中心に、人間中心環境への応用の前段階として個々の機能の高性能化を図ってきた。具体的な成果としては以下のとおりである。 ・最適カメラ配置 より広範囲な場所を知能化環境の対象とする場合に、カメラとトラッキングシステムによる効率的な位置同定を行なうにはどのようにカメラセンサを配置すれば良いかが問題となる。そこで、対象物体の移動範囲や部屋の大きさ及び必要精度を入力情報として、最適な位置同定を行なえるカメラパラメータやカメラ配置位置及びカメラの姿勢が得られる最適カメラ配置シミュレータを製作し、これに基づいたカメラ配置により精度の高い位置同定ができることが明らかとなった。 ・人間追従ロボットの実現 人間に近づいたり、後を追従するロボットは、病院やオフィスなどでの物資の運搬、人間とロボットの共存においては欠かすことのできない機能である。とくに、知能化環境では人間に物理的なサービスを提供するエージェントとして位置付けられており、これを実現するためには、人間とロボットできるだけ接近しなければならない。分散感覚デバイスの機能を利用し、広範囲で安定に人間に追従できる移動ロボットシステムを実現した。
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