研究概要 |
本年度は以下の研究を行った (1)半正定値計画問題に対するソフトウェアSDPAのさらなる高速化に関する研究. 通常SDPAの1反復の中で,最も計算パワーを要する部分は探索方向の計算である.この部分を高速化するために2つのことなった技術について研究した.1つは半正定値行列補完であり,この技術が変数の個数が非常に大きい問題に対して有効であることを計算機実験を通して検証した.もう1つは線形等式条件が多い問題に有効なLagrange双対内点法である.これらの結果については,九州で行われた応用数理学会,および,京都で行われた国際会議NTOC2001で発表した. (2)逐次線形計画緩和の実装とその並列実行実験. この研究課題を始める以前に行っていた逐次半正定値計画緩和は有効な緩和値を計算出来るのであるが,計算時間が多くかかった.これに対して今回の逐次線形計画緩和は緩和値に関しては若干劣るが,計算時間は短いことを検証した.この際,逐次線形計画緩和に特有の問題である"線形計画子問題を解く時間の大きなばらつき"を発見した.このため並列実行する際に線形計画子問題をどのような粒度でサーバー機に受け渡せば良いかが今後の課題として残った.また,逐次線形計画緩和,および,逐次半正定値計画緩和の2つの逐次凸緩和をどのように使い分けるかを詳しく調べる必要もある. (3)分枝限定法と組み合わせた場合に,逐次半正定値計画緩和がどのように有効に働くかについての基礎実験に向けての準備を開始した.
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