研究概要 |
申請者がこれまでに確立した、線形論理に基づいた(有限状態)稠密実時間並行システムの仕様・検証の形式的体系に対する、(1)証明のPSPACE決定可能性と、(2)発展的実時間システムの検証に対する適応性と,(3)(表示的意味論に対する)完全性いう3つの結果を用いて、論理的手法による実時間システム検証の理論を完成させた。特に、我々の枠組みでは、ダイナミックな変化を許す進化的、発展的実時間システムの安全性、リアクティヴ性、種々のスケジュール問題の自動検証、解析が可能である。エージェントの数が増加したり(例えば、鉄道交通網のある状況のもとで臨時列車をダイヤに組み入れたり)、時間制約が動的に変化したり(例えば、ある条件のもとで締め切り時間の延期通告が出たり)ということは、現実の実時間システムでは日常的に起こり得るが、このようなダイナミックで現実的な実時間システムに応用できる論理的検証ツールをわれわれのこれまでの理論的成果に基づいて実現するための準備研究を行った。又、我々の論理的検証系は、一部に危険な状態が生じ得ることが分っている実時間システムのなかで、安全なスケジュールを自動的に探し出したり、与えられた条件を満たすスケジュールを自動的に探しだすことを可能とする。 フランス国立情報科学研究所と共同で申請者の理論の中核部分の実装試作を行ってきた。この試作された論理的検証系FATALIS Systemが来年度の日本側の上記実装研究の基盤として用いられる。
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