研究概要 |
本研究の目的は、高い対障害性と秘匿性を両立し、なおかつそれらの特性を、QoS(Quality of Service)の値としてユーザが設定可能であるような、実用性の高い情報蓄積と伝送の技術を研究開発することである。これを実現するために、秘密分散法(Secret Sharing Scheme,以下SSSと略す)の理論を基礎に用いている。また、実装のプラットフォームとしては、インターネットによる広域分散システムを想定しているが、まずはローカルな環境での実装を与えることを目標として研究を行った。 研究室内での実験を行うために、研究室に計算機による分散環境を構築した。まず、5台の計算機により(3,5)閾値での分散蓄積実験を行った。ノードはPCにFreeBSDを搭載して構成している。ディスクI/OをボトルネックにしないためにRAIDディスクを用いた。 本年度は以下の研究を実施した。 ・まずUNIXコマンドレベルでの実装を行った。tar, cpio, dump同様のコマンドインタフェースを実現している。また、ファイルシステムとして実装するための技術的要件を調査・整理した。 ・(k, n)しきい値SSS計算を行うためのアルゴリズムを改良した。特にメッセージ長としてUFS(UNIX File System)の1blockである512Byteを前提としたアルゴリズムの開発を行った。更に、現在のコンピュータネットワークでの利用に適した、2の拡大体上での(k, n)しきい値SSSの実現のためのアルゴリズムを検討した。
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