HEVのORF2のN末、C末および4ヵ所の疎水性領域にHSVのB cellエピトープを挿入したバキュロウイルスを作成し、VLPの形成および挿入エピトープの発現を見たところN末、C末および2カ所疎水性領域にてVLPの形成と挿入エピトープの発現が認められた。VLP形成量のもっとも多いC末に挿入したchimeric VLPをマウスに経口投与したところ血清中および消化管粘液中に挿入エピトープ特異的抗体の誘導が認められた。これらのことより上述の部位にHIVenvの中和活性とCTLのエピトープであるP18(RIRGPGRAFTIGK)を挿入したchimeric VLP(VLP-HIV)を作成した.このVLP-HIVをマウスに経口投与すると血清中にはIgGが、糞便中にはIgGとIgAがエピトープ特異的に産制が認められた。これらマウスにHIV組み込みワクシニアウイルスを腹腔内、直腸内または膣内に接種したところ腹腔内投与では血清中IgGが、直腸内および膣内投与では各部位の洗浄液からIgAが挿入エピトープ特異的に産制されていた。更に挿入エピトープに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の誘導を検討したところ肺細胞のみならず、腸間膜リンパ節およびバイエル板細胞からも誘導が認められた。これら免疫マウスにHIV遺伝子組み込みワクシニアウイルスを接種し、卵巣からワクシニアウイルスをReal Time PCRにてウイルスコピー数を測定したところHIV-VLP投与マウスでは著しいコピー数の低下が認められた。以上のことから経口感染をするHEVのVLPを用いたVLP-HIVは全身的にも粘膜面にもエピトープ特異的免疫が液性免疫のみならず細胞性免疫をも誘導することが示された。
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