本研究では、方法として早稲田大学・CRESTの松本教授らと共同研究した「高感度イムノアッセイ法」(CREST事務を通して田代を筆頭著者とする国内外特許出願済み)を用いている。検討するテーマ「SDF13'A多型とAIDS発症遅延と血中SDF-1値の関係」は、米国の諸AIDSコホートを、O'Brien博士らの卸尽力で使用している。米国の研究成果を後追いするものではなく、日本で得られた成果に由来する検討テーマを、日本にコホートが無いという事情と、最大数のサンプルを検討した方が、見落としや擬陽性が少なくなるという科学的必然性から、O'Brien博士らと共同で米国コホートのサンプルを検討している。米国サンプルを受け取り、信頼できる測定には、何μlの血清またはプラズマを必要とするかを明らかにしている。測定値は安定で再現性に優れたものであるが、厳密な統計処理に耐えられるように、同時に5回測定することを3回くり返している。フィコール分画ではなく、プラズマを用いた方が測定値の信頼性が高いことから、現在、米国でフィコール分画しか採取していなかった例についてプラズマサンプルの採取を強く求めて、それが実行されてる。1000〜3000検体の5回測定を3回繰り返す作業自体は、京都大学で行っている。倫理面と個人プライバシーに十分配慮し、日本及び米国の倫理基準、インフォームドコンセントのガイドラインに沿ってHIV-1感染症症例の血液サンプル、ゲノムDNA、臨床データを収集、解析している。 以上を、京都大学医の倫理委員会の承認・指針のもとに行っている。
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