研究概要 |
本研究の目的は、Vifと結合し機能する宿主側の細胞性因子、およびVifにより感染細胞に引き起こされるシグナル伝達経路を分子生物学的手法を用いて同定することであるが、本年度は、主にその同定手段のための系の確立に費やされた。「今年度の成果」は 1)蛋白精製の手法によるVif結合蛋白質の同定を行う目的で、野生型Vif、機能を温存した変異体M27、機能を欠如した変異体M29,Δ12、をキナーゼによる燐酸化部位を有するGST融合蛋白発現ベクター(GST2TK)に組み込み、GST融合蛋白を作製した。これらをnon-permissive cellであるH9細胞の蛋白抽出液と反応させた後、GSTの沈降を行い、共沈した蛋白質を二次元電気泳動して、異なる泳動パターンを確認中である。 2)DNA array等のトランスクリプトーム、及びプロテオーム解析を用いたVifにより誘導されるシグナルの同定を目標として、Vifのnon-permissive cellであるH9細胞に、テトラサイクリン誘導システムを用いてVifを誘導発現できる細胞株の樹立を試みている。現在、H9 Tet off cell lineを樹立した。 3)Vifのnon-permissive cellであるH9細胞を用いた簡便なアッセイ系を樹立するため、ルシフェラーゼをレポーター遺伝子として組み込んだreplication competentなmolecular cloneであるpNL43 Δvif/Lucを作製し感染性を簡便にチェックするシステムを樹立した。
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