研究課題/領域番号 |
13226078
|
研究種目 |
特定領域研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小野 俊朗 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50185641)
|
研究分担者 |
松原 知代 山口大学, 医学部, 助教授 (10245722)
古川 漸 山口大学, 医学部, 教授 (30095830)
中山 睿一 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60180428)
|
研究期間 (年度) |
2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
キーワード | 川崎病 / cDNA / 発現ライブラリー / 抗原 / 抗体 / ファージ |
研究概要 |
川崎病は1967年に発表された乳幼児の急性熱性疾患で、中小動脈に炎症が認められるが、なかでも特に冠状動脈瘤が形成され、冠状動脈血栓による心筋梗塞または動脈瘤破裂により死亡する例が存在する。しかし、その病因因子は明らかになっていない。本研究では、川崎病の発症機構及びその病態に関与する免疫学的な要因を明らかにするため、患者血清中に産生される抗体が認識する抗原をcDNA発現クローニング法により同定した。 臍帯血管内皮細胞を初代培養し、これをTNFαで刺激後に回収し、cDNAの材料とした。このcDNAをファージにパッケージングしてcDNA発現ライブラリーを作製した。抗バクテリア抗体・抗ファージ抗体を除去した川崎病患者血清でスクリーニングしてIgG抗体認識抗原を単離した。現在、四名の川崎病患者血清でのスクリーニングを終え、患者Iからは25個、患者IIからは10個、患者IIIからは26個、患者IVからは8個、合計69個の陽性クローンを得た。インサートcDNAの塩基配列の検索の結果、46種類の遺伝子を同定した。そのうち既知の遣伝子は34種類であり、それらは細胞骨格、シグナル伝達、酵素などさまざまな蛋白をコードする遺伝子であった。トロポミオシンが患者Iと患者IIIで同時に同定され、特に患者IIIでは、26クローン中17クローンで同定された。また、抗原プロセッシングに関与するプロテアソームが患者Iでユビキチン関連蛋白が患者IとIIIで同定された。現在、同定された抗原が自己抗体あるいは抗筋抗体によるものかを検討するため、正常心臓組織より作製したcDNAライブラリーを用いてスクリーニングを行っている。また、抗原処理に関与する蛋白が同定されたことは、細胞内抗原処理機構のなんらかの異常を示唆するとともに川崎病急性期の末梢血でのCD14/CD16単球/マクロファージの活性化の事実との関連性を示唆した。
|