研究概要 |
Staphylococcus aureus TY114株よりetd pathogenicity island全体のクローニングに成功した。Island全長は9.054-kbとpathogenicity islandとしては小さく、その両側に繰り返し配列AATTCが認められた。既に明らかにされているS.aureus N315株、Mu50株ゲノム塩基配列との比較から、etd pathogenicity islandの染色体上挿入位置を決定した。etd pathogenicity islandには全部で7つのorfがコードされており、病原性に関与する可能性のある遺伝子としてetd, edin-B, putative serine protease geneが、ファージ耐性に関与する遺伝子が1つ、さらにtype IC restriction modificationに関与するhsdS, hsdR, homologue、IS256が存在した。 黄色ブドウ球菌、大腸菌で作成したリコンビナントETDは新生児マウス皮内投与により水疱を形成した。大腸菌で作成したリコンビナントETDを作用させたマウス皮膚を用いてdesmoglein1の染色性が低下することを明らかにした。さらにリコンビナントETDがin vitroで昆虫細胞で発現させたヒト、マウスdesmoglein1を選択的に消化することを明らかにした。 etd陽性と判定された広島で分離された株2株、大阪で分離された株1株、ドイツで分離された株15株についてパルスフィールド電気泳動を行った結果、これらの株が同一のクラスターに属することが示唆された。また種々の毒素遺伝子特異的プローブを用いたSouthern blot分析の結果、これらの株の内9株がSECあるいはSEB遺伝子陽性であることが明かとなった。
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