寄生虫などの細胞内寄生病原体に対する防御にはTh1型細胞によるインターフェロンγ産生を介した細胞性免疫が重要な役割を果たす。T : h1反応の誘導にはIL-12が重要とされている。WSX-1(TCCR1)は、リガンド不明のサイトカイン受容体でありIL-12受容体と相同性を持つ。WSX-1の生体内における役割を解析する目的で遺伝子改変マウスを作成した。 WSX-1欠損マウスは、リンパ球系の発達、血球系の発達には異常が見られなかった。WSX-1欠損Tリンパ球をIL-12存在下で刺激したところ、初期のインターフェロンγ産生に障害が見られ他が、Th1への分化が完成した細胞を再刺激したところ、WSX-1欠損Tリンパ球において野生型と同様のインターフェロンγ産生が見られたことから、WSX-1は、活性化初期のインターフェロンγ産生に重要な役割を果たしていると考えられた。さらに、WSX-1欠損マウスにリーシュマニア(L.major)を感染させたところ、野生型に比べ著しい易感染性を示し、感染初期のインターフェロンγ産生の低下がみられた。しかしながら、感染後期にはインターフェロンγ産生は回復し、症状も改善傾向が見られた。これらのことから、WSX-1は、IL-12受容体を介したものより早期にTh1誘導に働くサイトカイン受容体であると推察される。 WSX-1欠損マウスは、リーシュマニア以外にもトキソプラズマ、トリパノゾーマ感染に対しても高感受性を示しており、現在これらの感染におけるWSX-1の役割を詳細に解析している。
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