研究概要 |
プロモーター活性を調節する転写活性因子の同定) ●CCR5 promoterの活性を亢進させる因子としてOctamer transcription factors(Oct-2,OCA-B)を同定した。さらに、これらの因子が活性化T細胞で発現誘導され、R5ウイルスのT細胞への侵入を助長することを示した。 ●CCR5 promoterの活性を亢進させる因子としてYY1を同定した。これまでの研究により、この因子はCXCR4 promoterやHIV-1 LTRの活性を抑制することが示されている。 ●CCR5 promoter領域に計4箇所CTTTAWW(W=T or A)というcore sequenceを有するところがあり、gel shift assayで何らかの転写因子が結合する事が示唆されていたが、今回私達はこの部位に変異を導入するとCCR5 promoter活性が低下することを示し、重要なcis-acting elementsである可能性を示した。ここに結合する因子はリンパ球系の細胞、特にCCR5を発現するPM1細胞に多量含まれるのに対し、非リンパ球系細胞における発現は弱かった。 微生物因子によるHIV共受容体の発現もしくはそのプロモーター活性の調節) ●単純ヘルペスウイルス感染による刺激はHIV感染を助長するが、このメカニズムはプロウイルスからの発現の亢進に基づくもので、CCR5の発現への影響は少なかった。 ●微生物感染の中でHIVの増殖を抑制する、もしくは少なくとも他の微生物と比べるとHIV感染を助長する効果が弱そうなものとして、マラリアや恙虫病が挙げられる。私達はマラリア原虫や恙虫病リケッチアによる刺激がマクロファージ表面のCCR5の発現を低下させることを明らかにした。この作用は必ずしもプロモーター活性の低下を伴うものではなく、CCケモカインの産生亢進によるendocytosisを含む種々の機序によるものと考えられた。
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