研究概要 |
本年度は、非定型抗酸菌感染症の発症に関わる宿主側要因を明らかにする目的で、Th1免疫に関わるサイトカインレセプター、シグナル伝達分子、自然免疫に関わる遺伝子、殺菌に関わる遺伝子を候補遺伝子として、マイクロサテライトマーカーを用いた候補遺伝子スクリーニング、関連解析を展開した。初めに、IFN-γレセプター1,2、IL-12レセプターβ鎖1,2、IL-18レセプター1、STAT1、STAT4、toll-likeレセプター2,4、サーファクタント蛋白SP-A,SP-D、およびNRAMP-1遺伝子の計12種類の遺伝子座の内部ないし100kb以内に存在するshort tandem repeatをゲノムコンピュータ解析により抽出し、それらの繰り返し配列がマイクロサテライトマーカーとしての多型性を有するか否か、実際にゲルに流して検討した。その結果、平均対立遺伝子数は7.4、ヘテロ接合度は0.32から0.82のマーカーが、各遺伝子座あたり平均1から2個利用可能であった。 症例のエントリー基準としては、米国胸部疾患学会の1997年の診断基準を用いて、HIV症例、血液疾患症例(白血病、悪性リンパ腫など)、免疫抑制剤(ステロイドを含む)使用例は除外し、肺Avium,Intracellulare症に限り、主要2施設より症例を集積した。双方の倫理委員会にて研究計画が承認され次第、インフォームドコンセント、連結可能匿名化、個人情報管理のもとで、症例を集積し、現在91例を収集した。同時に臨床データシートを作成し、年齢、性別、発症時期、過去の呼吸器疾患の有無、主病変の局在などの情報を考慮しつつ、対照96例とともに現在関連解析を行っている。またβデフェンシン、グラニュリシンなど、内因性殺菌ペプチドをコードする遺伝子の非同義置換についても疾患との関連を検討している。
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