研究課題/領域番号 |
13235209
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
五十嵐 尤二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50151262)
|
研究分担者 |
伊藤 克美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50242392)
宗 博人 愛媛大学, 理学部, 教授 (20196992)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
キーワード | 場の理論 / くりこみ群 / ゲージ対称性 / カイラル対称性 / 格子理論 / マスター方程式 |
研究概要 |
Wilsonくりこみ群は、運動量切断による正則化を用いて量子揺らぎの逐次積文を行うため、ゲージ対称性などの実現に難点があった。本研究では、このような「正則化と共存しない対称性の実現」をめざした。運動量正則化の下でのゲージ対称性など連続理論に限らず、格子理論でのカイラル対称性なども含めて、H13年度からH18年度までの6年間、対称性の新たな定式化を系統的に研究した。方法論としては、局所的か大局的かを問わず対称性とのその存在様式をもっとも一般的に捉えられる理論形式である「反場形式」を採用し、 1.反場形式をくりこみ群にあらわれるWilson有効作用に適用する。 2.UV領域での場とそれを「粗視化」して得られるIR場を関係づけるブロック変換の導入。 という二つの方法を結合して、正則化とナイーブには両立しない対称性の定式化を研究した。その結果、(離散対称性)を除いて、新たな有効対称性が量子論的マスター方程式によって記述されることを明らかにして「切断を除いた極限でUV場に対する量子論的マスター方程式が成り立てば、有限の切断でもIR場に対するQMEが成り立つ」ということを一般的に示した。これによって、有効対称性の存在が概念的に確立できた。しかしながら、与えられた場の理論と切断を除いて定義される対称性から、その系の有効対称性を記述する量子論的マスター方程式の具体形やその解であるWilson有効作用を求めることは、困難な作業であった。われわれは、まず、格子理論におけるカイラル対称性の定式化を反場形式で研究し、この対称性を記述するWard-高橋恒等式であるGinsparg-Wilson関係式が、マスター方程式に他ならないことを明らかにして、フェルミオン自己相互作用系における量子論的マスター方程式の解析解を構成することができた。 また、最終年度になったが、ゲージ理論における有効対称性の研究を進めて、QEDに対する量子論的マスター方程式とその形式解を得ることができた。
|