配分額 *注記 |
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2004年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2003年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2002年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2001年度: 18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
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研究概要 |
光誘起相転移の超高速ダイナミックスはほとんど解明されていなかった.本研究では,主として時間分解発光分光法,過渡反射分光法,ラマン分光法を用い,(1)白金錯体系,(2)ニッケル錯体系,(3)ヴァナジウムブロンズ(NaV_2O_5)系,(4)二価鉄スピンクロスオーバー錯体,(5)量子常誘電物質,を中心にピコ秒からフェムト秒の領域で光誘起現象のダイナミクスの解明を行った. その成果のうち特に重要なものは下記のとおりである. (1)擬1次元ハロゲン架橋白金錯体(電荷密度波錯体)において,緩和励起子は光誘起現象の出発点と考えられている.その緩和励起子において,波束運動を時間分解発光によって実時間観測し,世界初の波束ムービーを作成することに成功した.更に,ハロゲンイオン依存性から,無輻射遷移の重要性を明らかにした. (2)擬1次元ニッケル錯体は電子相関が電子格子相互作用より重要と思われていたが,大きなエネルギー緩和を伴った短寿命の発光を発見し,励起状態においてはこれまでの常識に反して電子格子相互作用が重要であることを初めて示した. (3)これまでダイナミクスの研究が全く行われていなかったスピン梯子系酸化物α'-NaV_2O_5に,初めて超高速ポンプ・プローブ分光法を適用し,フォノンおよび磁気秩序に関係したモードのコヒーレント励起による観測を行った.また,光励起により熱的に電荷整列が崩壊する相転移の速さを明らかにし,さらに,熱転移より高速な光誘起現象を見出した.これによりα'-NaV_2O_5におけるダイナミクス研究の端緒を開いた. (4)二価鉄スピンクロスオーバー錯体において,光誘起相転により熱的には生成されない新たな物質相が現れることを発見し,光の波長を変えることにより,異なるスピン状態を選択的に生成することにも成功した. (5)量子常誘電物質SrTiO_3およびKTaO_3において,紫外線照射による劇的な誘電率増大(巨大誘電率効果)を見出した.
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