配分額 *注記 |
29,770千円 (直接経費: 22,900千円、間接経費: 6,870千円)
2002年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2001年度: 25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
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研究概要 |
本年度は拡張型ジチオフルバレンジチオラト配位子の中性単一成分磁性伝導体の合成を行った。銅錯体[Cu(dmdt)_2][dmdt^<2->=dimethyl-tetrathiafulvalenedithiolate]について大変興味深い結果を得た。この錯体は単結晶の室温電気伝導度が約4cm^<-1>と中性分子としては高く、活性化エネルギーは30meVで、バンドギヤップの小さい半導体である。0.12x0.07x0.01mmの微小結晶を用いて結晶構造をCCDX線構造解析装置により決定した。結晶学的なデータは、格子定数がa=24.24(2)Å,b=8.250(6),c=11.500(8),β=91.38(1)°,V=2299(2)Å^3, monoclinic, C2/c, Z=4である。2641点の反射強度に対してR値は0.055であった。銅には2つの平面配位子が四面体的に配位し、配位子の2面体角は約80度で、配位子はほぼ直交している。従って2つの配位子はそれぞれ隣の配位子と面を突き合わせ、二量体が直交した有機物超伝導体で有名なκ型構造をなしている。ただしこの場合には三次元のκ型構造である(図2)。このように中性単一成分分子性金属構造はこれまでに分子性結晶で見られなかった稠密な構造をしている事が大きな特徴である。又磁化率はCu^<2+>と思われる局在スピンが観測されており、伝導バンドと局在スピンの共存が予想される。このようにこの系の電子状態は特異的で、高圧下伝導度は大変興味深い。一方[Cu(tmdt)_2][tmdt^<2->=trimethylenetetrathiaful valenedithiolate]ではスピン密度6%の磁化率が観測され、単純なCurie-Weiss則にのらなかった。
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