研究課題
基盤研究(A)
以前報告者はパラジウム触媒存在下、メチレンシクロプロパンとフラン化合物を反応させると、メチレンシクロプロパンのdistal位の炭素-炭素結合と、フランの2位の炭素-水素結合とがそれぞれ選択的に解裂し、それらがカップリングすることを見出している。この反応は中性条件下における、フラン化合物の炭素-水素結合活性化によるアリル化反応である。今回報告者は、フラン化合物の代わりに種々の複素環化合物を用いて同様に反応を行った。その結果、チオフェン化合物やチアゾール化合物、ピロール化合物がフラン化合物と同様にメチレンシクロプロパンと反応し、それぞれアリル化された化合物が収率よく得られてくることがわかった。また、これらの複素環化合物の反応性はフラン化合物が最も高く、続いてチオフェン化合物、チアゾール化合物、ピロール化合物の順であった。これら反応はいずれも、メチレンシクロプロパンのdistal位の炭素-炭素結合が解裂して反応していることから、パラジウム触媒がまずこのdistal位を攻撃しパラダシクロブタン中間体を生成し、続いてこれがパラダエン型の反応を起こすことにより複素環の炭素-水素結合が活性化されると考えられる。
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