研究課題/領域番号 |
13304065
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
原 慶明 山形大学, 理学部, 教授 (60111358)
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研究分担者 |
菱沼 佑 山形大学, 理学部, 講師 (70181097)
R. Jordan (RICHARD Jordan / JORDAN R.) 山形大学, 理学部, 助教授 (90260455)
半澤 直人 (半沢 直人) 山形大学, 理学部, 助教授 (40292411)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
40,170千円 (直接経費: 30,900千円、間接経費: 9,270千円)
2003年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2002年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2001年度: 20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
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キーワード | 海水湖 / 固有進化 / 創始者効果 / バイカリアント / 分子系統解析 / rbcL遺伝子 / 海産大型藻類 / クラゲ / rbCL遺伝子 / 大型海藻 / 国有進化 / 遺伝的差異 / rpch / 微化石気代測定 / 生物地理学的分断 / 遺伝的分化 / 珪藻化石 / Jellyfish Lake / ビン首効果 / ミズクラゲ |
研究概要 |
今年度はパラオ共和国の島嶼に分布する海水湖に焦点を絞り、5月に現地に赴き研究対象の海水湖産および湖外産の動植物の採集、調査、実験を実施した。海水湖産の動植物と最も近縁(同種、種内分類群ないしは同属種)な湖外生物との形態的、生態的、遺伝的な変異を詳細に追求する事によって海水湖内生物の固有進化の可能性を探求した。同時に湖内堆積物、湖形成以前の動植物遺骸物による海水湖形成年代を微化石分析および放射性同位元素分析を用いて行った。今年度が最終年度となる本プロジェクトにおいて当初の目的であった海水湖産生物の固有進化のメカニズムを解明とそれらの進化速度の推定および進化予測を試行はいずれも結論には達しなかったが、以下のような知見を得た。(1)アクセスできた海水湖(19カ所)は陸水学的に2タイプ:半循環型と全循環型に識別でき、(2)貧弱ではあるが大型海藻フロラが存在し、前者には多核管状緑藻類が、後者には紅藻、褐藻が優占種なり、(3)湖内種は共通して外部形態的には大型化・脆弱化する傾向があるが、内部構造の種の特徴は保持し、(4)同一湖内集団間に遺伝的変異は1例をのぞいて無く、(5)湖の間あるいは湖外の集団間には僅かであるが遺伝的多型が認められ、(6)それらの結果を総合して分析すると湖内集団には固有進化の形跡はなく、創始者効果あるいは海藻独特のビン首効果が働いていることが予想された。クラゲやイガイ、魚類についても同様の調査、分析を実施したが、種分化あるいはその極めて初期の段階と予測される遺伝的変異を捉えたが結論を導くまで十分ではなかった。海水湖の湖底堆積物に含まれる微化石分析と遺骸物の放射性同位元素分析による、海水湖の成立年代測定は、サンプル収集が困難であることが判明し、計画を中止した。従って、これまでの情報に従い、海水湖の成立は約1万年前、すなわち最終氷期終了後とする説を採用して議論することにした。現時点での結論として、海水湖形成による地理的・生殖的隔離時間(約1万年)はそこに生育する生物にとって固有進化が生じるには短すぎるか、生じたであろう進化を測定しうる方法がないということと、海水湖産生物の著しい外部形態変異はほとんど遺伝的な変異を伴っていないといえる。同一湖集団の遺伝的組成が湖外集団と比べて均一なことは創始者効果あるいは何らかのビン首効果が集団内に影響したと指摘できる。
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