研究概要 |
本申請課題は平成13年度をもって廃止となるが,本年度は以下のように光周波数領域リフレクトメトリ(OFDR)を利用して偏波モード分散(PMD)の測定方法を確立し,全自動測定装置を開発を進めた.PMD値の測定は直交偏光状態の直線周波数変調光を用いる.まず,2分の1波長板(角度α)を持いてこの直交偏光光をテストファイバへ適切な偏光角で入射させる.テストファイバ通過後の光波は楕円偏光となるため4分の1波長板(角度β)により再び直交偏光状態に偏波安定させる.そして光偏光子(角度γ)にてこの2つの直交偏光成分のビートを得る.この3つの角度α,β,γを適切に調整すればPMDによって時間遅延を受けた直交偏光を得ることが可能で,このときビート周波数は0周波を基準として正および負の値として得られる.あらかじめ直交偏光光にオフセット時間遅延を設け,計測に適したビート周波数を得られる.OFDR光源には周波数シフト帰還型(FSF)ファイバレーザを用いた.α,β,γの角度調整は回転ステージによりパソコンで制御し,ビート信号はリアルタイムスペクトラムアナライザで測定し,パソコンに取り込みPMDを算出した.UTU-T国際PMDラウンドロビンの2つの偏波面保存ファイバ標本のPMD値は0.128ps(L=0.646m),1.012ps(L=0.67m)で,干渉法やその他のPMD測定方式とも0.01psの精度で良く一致した.偏光状態の変動するシングルモードファイバを連続観測においても,計測したPMD値は約0.82psで,干渉方式の約0.8psと良い一致を示した.本装置ではテストファイバの両端の通過測定,および片端からの反射測定の双方が可能であるため,敷設された通信網に対して整合性が高い.
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