研究課題/領域番号 |
13307014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125571)
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研究分担者 |
亀尾 聡美 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40312558)
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291336)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
53,170千円 (直接経費: 40,900千円、間接経費: 12,270千円)
2003年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2002年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2001年度: 23,660千円 (直接経費: 18,200千円、間接経費: 5,460千円)
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キーワード | メチル水銀 / 胎児期曝露 / 低濃度曝露 / 神経行動学 / セレン / 酸化ストレス / 水銀 / 老化 |
研究概要 |
メチル水銀(MeHg)は強い神経毒性を有する環境汚染物質であり、特に胎児期曝露によって出生後の認知行動面の発達に大きな影響を与えることが知られている。ただし、人における実際の曝露では出生後も低濃度の継続的な曝露を受けることになるものの、その影響についてはあまり明らかにはされていない。本研究では、このMeHgによる低濃度長期曝露の健康影響を評価するための曝露モデルをマウスを用いて作成し、主に行動科学の指標を用いた解析を計画した。生後12週齢、生後56週齢、さらにマウスの寿命に相当する103週齢における解析を実施した。方法は8週齢の雌マウスにあらかじめ0、1、5ppmのメチル水銀含有餌を与え、4週間後に無処理雄マウスと交配し、仔を得た。妊娠中、授乳中も同様にメチル水銀に曝露し、離乳後は仔の曝露を継続し長期曝露モデルとした。解析は神経行動学的な手法であるオープンフィールド試験、水迷路試験を実施すると共に、ホームケージ内における自発行動量の変化を日内リズムとの関連で解析した。その結果、Open field testでは生後12週齢でMeHg依存性に尿と糞の数が増加し、移動距離は雌で短縮した。56週齢以降で移動距離の絶対量は顕著に減少したが、103週齢でもMeHg曝露に伴って移動距離が減少した。生後56週齢以降では排尿、排便数には変化はなかった。次ぎに、水迷路試験では水面下に隠されたプラットフォームまでの到達時間がMeHg曝露により延長した。この結果は、生後12週齢、56週齢、103週齢のいずれの時点でも明確に認められた。以上の結果から、マウスの加齢によって排尿や排便行動に関してはMeHg曝露の影響が見かけ上消失するものの、情動面への影響、空間学習、記憶機能に関しては、MeHg曝露の影響が103週においても認められることが確認された。ただし、MeHg曝露と加齢との複合的な効果は観察されなかった。なお、この他に、交絡要因としてセレンの関与、金属結合蛋白質であるメタロチオネインの関与、離乳後の育児環境の影響、胎児期と成長後の2回曝露の影響などについても解析を行った。
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