研究分担者 |
加藤 直也 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90313220)
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 医員
谷口 博順 東京大学, 医学部附属病院, 医員
田中 康雄 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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配分額 *注記 |
52,390千円 (直接経費: 40,300千円、間接経費: 12,090千円)
2004年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2003年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2002年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2001年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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研究概要 |
本研究では,肝細胞に感染した肝炎ウイルスの産生する蛋白が直接的に肝細胞の死および生に至るシグナルに与える影響を分子レベルで検討し,肝炎ウイルスによる肝細胞障害機序を解明することを目的としている. 1)C型肝炎ウイルス(HCV)コア蛋白がNF-κBを活性化することを見出した.コア蛋白は,実際にNF-κBを介してIL-8プロモーターを活性化し,免疫系を介さずに炎症を惹起していた.また,コア蛋白が,MAP kinaseのシグナル伝達経路の活性化を介して,TGF-βの発現を惹起していることを見出した.2)HCV NS3蛋白が宿主のTBK1と結合し,HCV複製中間体である二重鎖RNAによるinnate immunityの活性化を阻害していることを見出した.これにより,HCVの持続感染に寄与するものと考えられる.3)HCV NS4AおよびNS4B蛋白は,非特異的に翻訳過程を阻害するtranslational shutoff機構を有していることを見出した.4)HCV NS5A蛋白が,p53と結合し,p53による転写活性化を阻害していることを見出した.その結果,p53により惹起されるアポトーシスを阻害していた.5)B型肝炎ウイルス(HBV)X蛋白(HBx)がheat shock protein 60 (Hsp60)と結合することを見出した,Hsp60との結合により,HBxのアポトーシス誘導能が亢進することが明らかになった.6)デルタ型肝炎ウイルス(HDV)ラージ抗原がHBx蛋白と共同して相乗的にSREを活性化することを見出した. 今後,生と死の細胞内シグナル伝達系に影響する肝炎ウイルス蛋白と宿主細胞内蛋白との相互作用を一層,明らかにしていく必要があると考えられる.
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