研究課題
基盤研究(A)
人間活動によって放出される各種ハロカーボン類のうち、成層圏オゾン層破壊をもたらすCFC類は、モントリオール議定書(1987)によりその生産・消費が削減・全廃されてきた。それに代って生産量が増加している代替フロンであるHCFC類やHFC類に加え、近年新たなPFC類の地球温暖化への影響が懸念され、地球温暖化防止京都議定書(1997)で、新たに国際的な規制物質に加えられた。しかしこれら微量成分の地球環境における分布や変動の観測は限られ、正確な大気中濃度の測定値が得られていない。本研究代表者は大気中の主要ハロカーボン類の地球規模で経年変動と放出過程等を明らかにしてきた。本研究では、新たに本研究費で導入した高感度ガスクロマトグラフ/質量分析装置を改造し、新たに開発した大気試料濃縮装置と組み合わせて、高分離能・高感度の大気中微量気体定量装置を製作した。従来法より優れているが、それでも分析精度・確度の向上に限界が見られたことから、大気中に均一に普遍的に存在する希ガスであるクリプトンを内部標準とする全く新しい定量法を開発した。必要な大気試料量は数分の一に削減でき、これまで本研究室で採取・保存してきた過去20年以上にわたる南北両半球(北海道と南極昭和基地)のバックグラウンド大気試料、および大気球搭載サンプラーで採取した成層圏までの高層大気試料を分析した。その結果、南北両半球ならびに全球規模でのCF4等の大気中濃度の高精度・高確度の分布と変動が詳しく明らかになった。また大気球による高度分布の結果から、成層圏大気の古さ、地球大気の大循環等についての新たな知見が得られた。さらに、新分析法の開発過程で、これまで50年間も引用され信じられてきた普遍的なクリプトンの大気中濃度が正しくないことを発見し、クリプトンの大気中濃度を新たに高確度で定量して、改定値を得た。
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