研究分担者 |
清水 尚博 日本碍子株式会社, ものづくりセンター, 研究員
井深 真治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70262277)
安岡 康一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00272675)
今西 雄一郎 日本碍子株式会社, ものづくりセンター, 研究員
|
配分額 *注記 |
33,670千円 (直接経費: 25,900千円、間接経費: 7,770千円)
2002年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2001年度: 28,600千円 (直接経費: 22,000千円、間接経費: 6,600千円)
|
研究概要 |
本研究は半導体パワーデバイス中のキャリア挙動に与える磁界の影響を,理論的および実験的に検討し,特にパルスパワー技術で用いられる大電流密度領域を想定した半導体デバイス設計に求められる基礎データの収集と,新しいデバイス構造の提案を目的とする。まず,半導体パワーデバイスの基本構造であるpinダイオードについて,大電流密度動作領域におけるキャリア分布を1.55μmの波長を持つ赤外プローブレーザを用いた自由キャリア吸収法による時空間分解測定を行った。プローブビームの軌道計算を利用することで,40μmの空間分解能を得ることに成功した。その結果,pinダイオード内のキャリア密度分布は磁界の印加によってローレンツ力の働く方向に空間的な偏りを示すことを初めて確認した。また,磁界によるpinダイオードのオン抵抗増加の要因を検討し,キャリア密度分布の空間的な偏りは等価的にデバイス内の電流経路断面積の減少をまねくことを明らかにし,パルス大電力動作時の半導体パワーデバイスの特性評価には,磁界の影響を考慮する必要があることを明らかにした。次に,実際のパワーデバイスについて,パルスパワー応用が期待されているSIサイリスタを対象として,高速大電流密度動作時におけるデバイス内部キャリア挙動を実験的に調べた。デバイス内に注入されるキャリアに,電位障壁の除去と,アノードからカソードへの電荷伝達の役割があることに注目した結果,大電流密度であっても高速パルスであるため,電荷輸送にかかわるキャリアの量が比較的少量であることを明らかにした。すなわち,SIサイリスタをパルスパワー動作させる場合,パルスの伝達に関わるデバイス内キャリア密度はこれまで予想されていた値よりも低くとどまり,SIサイリスタの高速ターンオフおよび高繰り返しスイッチング性能の向上について、その可能性を示すことに成功した。
|