研究課題
基盤研究(A)
滑面小胞体に局在し、IP3により開口するCa^<2+>チャネルであるIP3受容体は、細胞内Ca^<2+>動態を制御する主要な分子の1つである。IP3/Ca^<2+>情報伝達系の制御機構を解明する目的で、IP3受容体と結合し、IP3により解離する分子の探索を行った。[方法]IP3受容体の約2200アミノ酸からなるN末側細胞質領域を発現してカラムを作製した。ラット小脳抽出液を添加し、結合した分子をIP3で溶出し、アミノ酸シークエンスにより同定した。IP3受容体との特異的結合は、GST pulldown assay、マウス小脳を用いた免疫沈降法、Cos-7での過剰発現によるIP3受容体との共局在などにより解析した。各組織での発現は、ウェスタンブロッティング及び免疫組織染色により解析した。さらに、リガンドであるIP3によるIP3受容体からの解離をin vitroや細胞系で解析した。[結果および考察]IP3受容体に対するアフィニティー精製により、60kDaの分子を同定した。60kDa分子はin vitro及びin vivoでIP3受容体と結合し、その結合領域はIP3 binding coreであった。Cos-7に過剰発現させたところ、IP3受容体の局在と一致した。発現は普遍的であるが、脳での発現が最も高く、小脳では分子層に強く発現していた。さらに、60kDa分子はIP3によりIP3受容体より解離した。以上の結果より、60kDa分子はIP3受容体の制御分子あるいはIP3/Ca^<2+>情報伝達系に関わるシグナリング分子である可能性が示唆された。
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