研究課題/領域番号 |
13357002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀井 俊宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80142305)
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研究分担者 |
石橋 正英 (財)阪大微生物病研究会, 観音寺研究所, 所長(研究職) (70029776)
田井 久美子 大阪大学, 教務職員 (00187907)
三田村 俊秀 大阪大学, 助教授 (80268846)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2003年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2002年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2001年度: 16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
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キーワード | マラリアワクチン / SERA / チンパンジー / GMP / P.falciparum / SE36蛋白質 / ソロモン諸島 / ADCI |
研究概要 |
我々が本基盤研究以前に精製を完了したSE36蛋白質は、熱帯熱マラリア原虫のSERA(Serine Repeat Antigen,120kd)蛋白質のN-末端ドメインをもとに組換え技術を用いて構築した組み換え蛋白質である。本基盤研究においては(財)阪大微生物病研究会観音寺研究所より、エンドトキシン活性を除去したGMP精製SE36蛋白質の供給を受けて行われたものである。本基盤研究においてはSE36マラリアワクチンの臨床試験をめざして、以下の実験を行い、ワクチンの実用化にとって極めて有望な実験結果が得られた。(1)SE36蛋白質の免疫原性について試験するため、水酸化アルミニウムゲルに吸着させた試作ワクチンを作製し、3頭のチンパンジーに対して免疫試験を行った。その結果、SE36蛋白質は免疫原性が高く、他のIgGサブクラスとともにIgG3抗体価の上昇が確認された。(2)チンパンジーにおいて誘導されたSE36特異的な抗体価は1年を越えて維持されること、また2年を経過した後にブースト接種を施したところ、2週間以内に最高値まで抗体価が上昇することが観察された。(3)SE36蛋白質に対する特異抗体が、流行地域住民が獲得したマラリア発症防御免疫において、どの程度寄与するかを評価するため、ソロモン諸島において血清疫学調査をおこなった。SERAのN-末端ドメイン(SE36)及びMSP-1のblock 1-6(MSP-1_<1-6>)について血清抗体価を測定するとともに、原虫率とマラリア症状を観察した結果、抗体陽性率はSE36及びMSP-1_<1-6>に対してそれぞれ48%と78%であり、抗SE36抗体価と血中原虫率及びマラリア発症に強い負の相関が認められた。(4)さらに、高い抗SE36抗体価を示す住民血清をプールし、熱帯熱マラリア原虫の培養液に入れたところ、原虫増殖を抑制した。また血清を前もって組換えSE36蛋白質によって中和することにより、その抑制効果の50%以上が消失した。一方、SERA5遺伝子には3つの対立遺伝子型が知られているが、これら対立遺伝子を持つ3種のマラリア原虫株に対しもそれぞれ増殖阻害が観察された。以上の結果はSERA蛋白質のN-末端ドメインが流行地域住民のマラリア発症防御免疫の主たる標的抗原であることを強く示唆する。
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