配分額 *注記 |
48,100千円 (直接経費: 37,000千円、間接経費: 11,100千円)
2003年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2002年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2001年度: 28,210千円 (直接経費: 21,700千円、間接経費: 6,510千円)
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研究概要 |
本研究では高感度質量分析に対応した呼吸回路を製作した.すなわち雰囲気の混入や不純物の付着を予防するため,(1)超高純度空気の選定,(2)気流の一方向性を保つ厚さ0.3mmのSUS316製Jバルブの製作し,(3)質量分析導入回路には結露防止ヒーターを設置した.呼吸回路の一部として,(3)マウスピース(シリコン製)と医療器具を一部採用したが,(4)接続部は極力減らし,システム全体を単純化し,超音波洗浄によりかなり汚染を除去できた.以上より,APIMS導入に最適な呼吸回路システムを組み立て,超高感度呼気ガス質量分析が可能になった.このシステムを用いて,まず,運動負荷試験における呼気ガス質量分析を行った.ついで健康成人・疾患患者のボランティアを募り,呼気ガス微量成分の調査を行った.疾患の内訳は高血圧,糖尿病,高脂血症,高尿酸血症をはじめとする生活習慣病,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾,患虚血性心疾患や弁膜症などの循環器疾患,慢性胃炎・胃潰瘍,肝疾患などの消化器疾患等,多岐にわたる疾患群における呼気微量ガス成分のスペクトラムを得た.この結果を現在解析中であるが,特に血糖や総コレステロールときわめてよく相関する化合物を見出した.これらの成果を発展させ,呼気ガスによる血糖値とコレステロール値の推定が可能となり,現在,この成分に対する特異的センサーの開発を準備している.また,呼吸器・循環器疾患の症例を病院部門と協力し,被験者数をさらに増やし,疾患特異的な化合物を探索中である.本研究の途上,「試料表面から発生するガスの超高感度分析システムおよび方法」を開発し,この試作装置と大気圧イオン化質量分析装置を用い,皮膚ガス微量成分の質量スペクトラムをみたところ,大部分の質量数において呼気微量成分とほぼ直線的に相関し,また,呼気および皮膚ガスにそれぞれ特有な成分が一部認められることが判明した.これにより呼気と皮膚ガスによる統合的生体ガス分析システムの開発の端緒となり,さらに幅広い研究開発への展開が可能となった.
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