研究課題/領域番号 |
13376002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
武部 豊 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 室長 (50126116)
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研究分担者 |
塩田 達雄 大阪大学, 微研免疫・ウイルス感染制御分野, 教授 (00187329)
椎野 禎一郎 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (90291129)
佐藤 裕徳 国立感染症研究所, 遺伝子解析室, 主任研究官 (80260272)
保富 康宏 三重大学, 医学部・生体防御学医学講座, 助教授 (90281724)
滝口 雅文 熊本大学, 医学部・エイズ学研究センター, 教授 (00183450)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
2003年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2002年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2001年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | アジア / エイズ / HIV / 分子疫学 / サブタイプ / 組換えウイルス / 遺伝子多型 / 宿主因子 / CTLエピトープ / ケモカイン受容体 / 経口ワクチンベクター / CCR2 |
研究概要 |
われわれは,アジアにおけるエイズ流行の危機的状況を背景として、この地域におけるHIV流行形成のメカニズムとHIV感受性やエイズ発症に影響を及ぼす宿主の遺伝学的背景の解明を目指し、アジア各国の研究者との共同研究によって,次の研究成果を得た。 (1)分子疫学研究:ミャンマー中部と中国雲南省西部に、世界でも類例を見ない極めてユニークな組換えウイルス(Unique recombinant forms, URFs)新生のホットスポットを発見した。またすでに樹立された2種の組換え型流行株(CRF)(CRFO7_BCとCRFO8_BC)間の組換えによる第2世代の組換えウイルスを同定することにはじめて成功した。これら地域において多様なURFが新生している事実から、極めて危険なリスク行動を行い、様々な系統のウイルス株に暴露されている集団(IDUおよび売春婦)とウイルスの高率の伝播を可能とする社会的ネットワークが存在することが示唆された。また、両地域に分布する組換えウイルスの多くが組換え点を共有していることから、共通の組換えウイルスを母体として生まれた可能性が明らかとなった。これらの分子疫学的知見は,アジア地域を標的とする将来のワクチン開発戦略に重要な示唆を与えるものと考えられる。 (2)エイズ発症・HIV感染感受性に影響を与える宿主要因に関する分子疫学研究:タイ(マヒドン大)との共同研究によって、Discordant couple(夫婦の一方だけがHIVに感染しているケース)の非感染配偶者では、HIV感染者よりも,有意に高い頻度でCCR2 641変異のホモ接合体が見い出されることを明らかにし、アジア人においてCCR2 641変異がHIV感染抵抗性と関連する有力な遺伝子多型であることを示した。また、北タイ(ランパン県)のコホートによって、IL4の多型IL4-589Tのホモ接合が(女性とHAART治療例において)AIDS発症遅延と相関することを示した(塩田)。 (3)免疫学研究:タイを中心とするアジア地域における流行形成に重要な役割を果たしているHIV-1サブタイプE(CRF01_AE)と欧米に広く流布するウイルスであるHIV-1サブタイプB感染者から樹立されたT細胞株を用い、エピトープ認識の交差性に関する解析を行った(滝口)。また新しい経口ワクチンベクターとしてE型肝炎ウイルスを用いたウイルス中空粒子(VLP)へのHIV^1 env DNA封入による新しい経口ワクチンベクターの開発を行い、開発途上国での応用の可能性を示した(保富)。
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