研究概要 |
主としてthe British National Corpusやthe Bank of Englishなどの大規模コーパスを活用し,現代英語の語彙的・構文的な側面について詳細な事実調査を行い,これを基に,辞書,文法書,語法書などの記述の不備の整理を進めると同時に,先行研究では扱われてこなかった新たな言語事実の発掘を行い,さらに,伝統文法,記述文法,生成文法,構文文法,認知言語学等の知見を踏まえながら,これらの言語事実が持つ理論的な問題を検討し,問題解決の方向性を探った。 また,利用可能な言語資源を増やすこと,言語資源を有効に活用するためのプログラムの入手・作成・改良,情報処理技術習得のための講習会の開催,コーパス利用における実際的な問題の検討などを行い,コーパス利用環境の整備を行った。 三年間を通じ,本研究のメンバーが主催するLexigramという研究会の月例会およびそのメーリングリストにおいて,メンバー間で情報交換や問題の検討を行ってきたが,それに加え,国内外のワークショップやセミナーに参加したり,講演会を開催するなど,コーパスを利用した言語研究に関して,本研究の分担者になっていない学外の専門家との情報交換も積極的に行った。 研究の成果の一部は,論文として発表するだけでなく,シンポジウムや講演会等で公開してきた。最終年度の平成15年度は,特に,大規模コーパスの利用により,どう客観的に現象面での有標性を捉えるか,その具体的な方法の開拓,また,現象面での有標性を理論的な有標性にどう結び付けるかなど,大規模コーパスが言語研究・言語理論に果たす役割についても併せて考察したが,その成果については,代表・分担者全員が司会または発表者として参加した,英語コーパス学会22回大会のシンポジウム「英語構文研究の実践:コーパスの貢献」において公開した。
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