研究分担者 |
藤原 帰一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90173484)
山下 友信 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10107485)
高橋 進 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40009840)
中村 民雄 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (90237412)
中山 洋平 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (90242065)
岩村 正彦 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (60125995)
|
研究概要 |
1992年の域内市場統合の完成後,今やEU拡大が課題となった.拡大を睨んで,EUは,大きな制度設計の季節を迎えており,動態的かつ学際的研究が不可欠となっている.本研究は,法学研究者と行政学・政治学研究者との学際的連携により,一方で,法政策決定過程・執行過程を,ECレヴェルおよび加盟国レヴェルの双方につき分析しうる研究態勢を組織すること,他方で複数領域にまたがる政策調整の問題,例えば会社法と労働法との抵触問題等の分析を目的とするものであった. 共同研究者が順次,各自の問題意識を整理・報告する会合を重ねる過程において,専攻を異にする法学研究者と行政学・政治学研究者とでは,等しくヨーロッパ統合を研究する場合でも,着眼点が異なることが明らかになった点は,相互にとって極めて刺激的かつ有益であった.例えば,EC法研究者の関心の中心は,当然ながらEC裁判所による法形成にあるのに対して,行政学・政治学の専攻者の関心は,むしろECおよび加盟国レヴェルの政策決定過程にある.その結果,前者がEC法による加盟国国内法の「ヨーロッパ法化」に着目するのに対して,後者は,むしろECレヴェルにおける政策決定過程における政策間調整の困難,議会外の街頭行動に注目する傾向が強く,同じくヨーロッパ統合研究といっても,全体的なイメージが大きく異なることが,認識できたからである. 今後近い将来においても,EC法研究は更に重要な意義を持つことになるものと思われる.例えば,欧州憲法起草会議(Convention)は,本年6月には欧州憲法草案を提出することになっており,今後とも欧州統合の推移をフォローしていきたいと考えている.
|