配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2002年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
公的ネットワーク産業では,その供給する公共的サービス水準の貧困さ,供給システムの非効率性が大きな問題となっている。伝統的な供給体制の改革が緊急の課題となる状況になっているなか,これに対して様々な施策が各国,各分野で実施されているが,その歴史的蓄積も少なく,公的ネットワーク産業としての包括的かつ横断的な研究は皆無といってよい。そこで,重要な改革群の成果を整理分析することで,今後の研究・議論のための土台を提供することが本研究の狙いであった。 3年間にわたる研究プロジェクトの過程を経て,これまでわが国では国際的な比較可能性を十分に意識した研究蓄積が乏しかった地域公共交通,航空,鉄道,国際物流といった各々の分野についての解析が進んだこと自体一つの大きな成果であったといえる。いずれの分野でも自立性と適切な採算性圧力の制度設計が行われていることが,単に効率性の面だけでなく,より有効なサービス供給体制の構築にとって非常に重要な要素であることを示唆する結果が得られた。これらの成果を統合的に理解することで,公的ネットワーク産業の民間供給手法に関する統合的研究フレームワークをめぐる包括的議論を進めることができた。そして,いわば方針・原理原則を定める戦略レベルと日々の事業活動を包括するいわば戦術レベルを区分することの重要性,規制緩和後の制度設計の議論で,戦略レベルの名のもとで,どちらかといえば戦術的な内容に近いことに目が向きがちである性向があることがみられ,それが有効な改革にとって障害となっていること,この点を克服する制度設計と原理原則自体に関する一層の研究の必要性とその方向性を明らかにできたことは,学会のみならず政策的にも意義深いと考える。 もちろん限られた期間・人的資源では,反論の余地のないレベルまで議論を高めることは不可能であったかが,今後の当該分野における研究にとって貴重な貢献をなすことができたと自負している。日本にとじない研究を指向するわれわれにとって,たとえば本分野,なかでも航空分野の研究の世界的メッカであるブリティッシュコロンビア大学と連携する形で国際的な研究ネットワークを築くことができたことは貴重である。われわれとしては,本研究プロジェクトの自体の研究期間は終了するものの,これらの成果を土台に,今後に国際的なレベルでの研究をさらに押し進める予定である。
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