研究課題/領域番号 |
13440047
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎解析学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
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研究分担者 |
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
木坂 正史 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 助教授 (70244671)
國府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
松崎 克彦 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (80222298)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 複素力学系 / サリバンの辞書 / 整函数 / クライン群 / 表現空間 / 分岐被覆 |
研究概要 |
平成13年度には、まず多岐にわたる複素力学系における現象の包括的理解のために、いくつかのグループに分かれて現状の把握と総括を行い、個別の研究での類似性に着目して複素力学系共通の理念の抽出に努めた。平成14年にはさらに、分担者の国府寛司・木坂正史氏ら、および志賀啓成・松崎克彦氏らとともに、それぞれ国際研究集会を組織して、この間に得られた成果と提起されてきた将来の研究課題を総括した。その結果、特に志賀啓成・松崎克彦らにより、有限生成クライン群と有理函数の与える力学系の類似性に関しては、タイヒミュラー理論の観点からも分岐理論の観点からも多くの成果が得られた。代表者谷口雅彦は、本来遂行目標であるサリバンの辞書の構築、すなわち有理函数とクライン群の統一的理解、を進めると共に、クライン群におけるケーリーグラフや多項式の力学系的構造を被覆構造から記述するといったサリバンの辞書における概念・手法を、整函数の研究に敷衍し「配置樹木」という組み合わせ論的モデルを発明した。その結果「構造有限性」という極めて重要な函数族を発見するに至った。この族は、上記の有限生成クライン群と有理函数の与える力学系の類似性を間違いなく考えうるもの、すなわち同じサリバンの辞書の項目、として辞書自身の補強が可能になる族であるという予想を越えた発見をもたらした。特にその帰結の一つとして、任意の構造有限な超越整函数は常にハウスドルフ次元が2のジュリア集合を持つことが証明できた。また上研究の分担者の木坂氏によっても構造有限な整函数の力学系的性質がいくつか明らかにされた。さらに、ごく最近になって、分岐被覆構造の表現空間としてのフルビッツ空間の重要性に着目し、ベルの予想を肯定的に解決することに成功したことも特記に値する成果である。
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