研究課題/領域番号 |
13440087
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
川村 静児 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (40301725)
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研究分担者 |
山崎 利孝 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (90182485)
新井 宏二 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (50321584)
高橋 竜太郎 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (60270451)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
12,800千円 (直接経費: 12,800千円)
2002年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2001年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 重力波 / レーザー干渉計 / 帯域可変型干渉計 |
研究概要 |
現在、世界各地でレーザー干渉計を用いた重力波検出プロジェクトが進んでいる。日本のTAMA計画、アメリカのLIGO計画、フランス・イタリアのVIRGO計画、ドイツ・イギリスのGEO計画などが主なものであり、数年後には人類初の重力波検出がなされる可能性もある。しかし、将来この分野を重力波天文学にまで高めていくためには、検出器のより一層の感度の向上が必要である。 干渉計の光学配置を工夫することにより感度を高める方法として注目を浴びているのが、帯域可変型干渉計のレゾナント・サイドバンド・エクストラクション(RSE)干渉計である。RSE干渉計は、重力波検出用の標準的な干渉計の検出ポート側に1枚のミラーを配置し、適切に制御することにより、干渉計の重力波に対する感度をある限られた周波数帯域で上げようとするものである。 すでにRSE干渉計に関する原理確認実験は終了しており、現在はその実用的な応用の基礎を築くための実験が世界中で行われている。ところでこれらは全て大気中のテーブルトップ実験であり、多変調を用いた信号取得方法が試みられている。しかしRSE干渉計では大気中でのミラーの劣化が大きな問題であり、また最終的にRSE干渉計をミラーがつり下げられている大型装置に組み込むことを考えた場合、テーブルトップで固定ミラーを用いて行なう実験では限界がある。さらに多変調を用いた信号取得方法は、ただでさえ複雑な干渉計の制御をより一層複雑にしてしまう。 そこで本研究では、一本腕の真空装置と超小型の簡易型ミラーつり下げシステムを用いることにより、テーブルトップ実験の簡便さを損なわぬまま、ミラーの劣化のない環境で、より現実の重力波アンテナに近いかたちで実験を行ない、世界で始めて吊り下げられたミラーを用いたRSE干渉計の動作に成功した。また単一変調による信号取得法を開発し、よりシンプルで信頼性の高い制御方法を実現した。さらに信号取得の純度を改善するため、単一変調のままで3倍波復調を用いた信号取得方法を新たに考案し、システムを複雑にすることなく制御特性が改善できることを、理論的および実験において確認した。また本実験で使う超小型の簡易型ミラーつり下げシステムにおいては、実験をスムーズに行なうため、世界に類を見ない負性抵抗を用いた全く新しいタイプのダンピングシステムを開発した。さらに全く新しい技術である、偏光を用いたRSE干渉計の可能性を探るための実験も行なっている。理論面ではRSE干渉計の量子雑音についての新しい考察を行なった。 これらの研究成果によりRSE干渉計の理解は一段と深まり、そのフィージビリティーも飛躍的に増大した。今後更に3倍波復調を用いた信号取得の各種パラメタを実験的に最適化することにより、大型アンテナへのRSE干渉計の組み込みの準備は万全となると考えられる。
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