研究課題/領域番号 |
13440090
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 博 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40201991)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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キーワード | 非線形光学効果 / 三次の非線形感受率 / 強相関系 / 銅酸化物 / 遷移金属錯体 / 第三高調波発生 / 三次の非線形感受 / 強相関係 / 非線形光学定数 |
研究概要 |
本研究では、強相関一次元系であるハロゲン架橋ニッケル錯体および一次元銅酸化物、また二次元銅酸化物において、光の周波数領域での三次の非線形光学応答を評価し、x^<(3)>が増大する機構を解明することを目的とした。具体的な測定としては、一次元および二次元銅酸化物のZ-スキャン法によるx^<(3)>の測定、二次元銅酸化物の第三高調波発生によるx^<(3)>の絶対値および位相測定、ハロゲン架橋ニッケル錯体の反射型第三高調波発生法によるx^<(3)>の絶対値測定、等を行なった。得られた主要な成果は以下のとおりである。 ○一次元銅酸化物およびハロゲン架橋ニッケル錯体では、奇と偶の励起状態がほぼ縮退するのに対し、二次元銅酸化物では、偶の励起状態が奇のそれよりわずかに低エネルギー側まで広がって存在することが明らかとなった。これは、一次元系ではスピンと電荷が分離するのに対し、二次元系では結合することに起因している。一次元系では、スピン電荷分離の性質によって、基底状態と奇の励起状態間、および、奇と偶の励起状態間の遷移双極子モーメントが増大し、その結果より大きなx^<(3)>が現れる。 ○反射型第三高調波発生法によって求められた臭素架橋ニッケル錯体のx^<(3)>は、10^<-8>esuを超え極めて、大きいことが明らかとなった。この錯体は、光励起状態の緩和が速いこと、吸収スペクトル幅が非常に狭くギャップ内に透明領域を確保できることなどから、応用上も有利な物質であることが示された。x^<(3)>スペクトル形状の詳細な解析から、縮退した奇と偶の励起子状態のわずかに高エネルギー側に、連続状態(バンド状態)に対応する幅広い奇の励起状態が存在することが明らかとなった。励起子とバンド間遷移の振動子強度の比は、ほぼ同程度であり、ハロゲン架橋ニッケル錯体の非線形光学応答を理解するには、励起子状態と連続状態の両者を考慮することが重要であることがわかった。
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